認知症の人が迷子になっているのに叱ったり、自分では家に帰るのだと思って出かけようとするのを無理に止めたりすると、本人は辛い思いをしてしまいます。本人には本人の理由がります。また、鍵をかけて家から出られないようにすると、とてもストレスを感じ、そのことで症状が悪化することもあるそうです。
迷子になりやすいなら一緒に買い物に行くとか、散歩につきあってあげるとかすると良いとか、出かけたと思ったら、そっと先回りして偶然会ったようにふるまい、興味の対象を変えるようなことばがけをして、本人が納得したら一緒に帰ってくると良いということがいわれます。
しかし、介護をしている人もいつもいつもそうできるわけではありません。全てを家族だけで行うことは不可能だと思います。だからこそ周りのサポートが必要になってくるのです。様々な介護サービスもそうですが、ご近所さんであったり、お店の人や駅員さんなど町じゅうに認知症についての知識を持った人がたくさんいると、迷子になっている人や、不自然に歩いている人を気をにかけること、声をかけることができますし、専門機関に連絡することも可能です。
ご近所さんが気をつけてくださっていれば、ちょっと目を話した隙に認知症の方が出かけても、あそこで見かけた、ここで見かけたという情報も得やすくなります。声をかけてくださったり、家に帰れるようにうまく促してくださる可能性もあります。みんなで見守りあえる関係性ができていると良いのだと思います。
2004年、それまで使われていた痴呆症という呼び名が認知症に改められ、それを機に2005年度から「認知症を知り地域をつくる10ヵ年」がスタートし認知症サポーター100万人キャラバンなど認知症の理解者を増やす取り組みが進んできました。
認知症について学んだ、認知症サポーターは、平成25年9月30日時点で、4,468,264人になりました。
それでもまだまだ、認知症の方とその家族を支える仕組みというのは充分とはいえないようです。