そもそも認知症ってなんでしょう。厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/a02.html)には、次のようにあります。
脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状が記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能の低下など中核症状と呼ばれるものです。これらの中核症状のため周囲で起こっている現実を正しく認識できなくなります。
記憶障害は文字通り覚えられなくなる症状です。経度のうちは新しいことが覚えられなくなり、さっき聞いたことが思い出せないといったことが起こります。症状が進むと、覚えていたはずの記憶も失われてゆきます。
見当識障害は、年月や時刻、自分がどこにいるかなど基本的な状況を把握することが難しくなることです。長時間待ったり、予定に合わせて準備することができなくなりますし、場所や方向がわからなくなって迷子になったりします。
理解判断力も低下して、考えるのが遅くなったり、2つ以上のことがうまく処理できなくなったり、いつもと少し違うことが起こると混乱してしまう。観念的なことと現実的なことが結びつかなくなるということが起こります。
実行機能障害はいろいろなことを計画を立てて行う事が難しくなることです。このようなしょうがいのためにその場の状況が読めなくなり、その場に応じた感情表現ができなくなってしまい、突然怒り出すと周囲の人に思わせるような感情表現をしてしまうことがあります。
これらの症状を中核症状と呼びます。この中核症状が原因となり、不安や焦り、うつ状態、幻覚、妄想、徘徊、興奮、暴力、不潔行為などの行動・心理症状が起こります。今までできていたことができなくなったり、物忘れなど認知機能の低下を自覚して、元気、やる気がなくなり、うつ状態になったりしますが、そんなときは周囲の人の対応が大切なのだそうです。失敗したときに、叱られたりとがめられたりばかりだと、ますます元気がなくなりますし、そのことが症状を悪化させることにも繋がるそうです。逆にそういう本人の状態を理解し、大丈夫だよと受けとめてあげると、症状の進行が穏やかになったり、改善したりすることもあるようです。
また、大切な物をどこにしまったのかを忘れてしまい、盗まれたと思い込んで、家族を疑うこともおこり、介護している人をはじめ周囲の人を疲弊させてしまうこともあります。こんな時は、介護している家族にも支援が必要になってきます。
いずれにしても、認知症についての正しい知識をもつことが大切です。そして本人を受けとめ、穏やかな気持ちで過ごせるような支援が必要ですし、それを行うためにも介護者である家族の負担を軽減する支援も必要になってきます。