認知症について研究が進み、いろいろなことがわかってきています。アルツハイマー病については症状の進行を遅らせる薬も開発されています。それでも、まわりの人のサポートは当然必要になってきます。地域包括支援センターの方が「認知症は脳の病気です。」とおっしゃっていました。風邪をひくとか、おなかが痛くなるのと同じことなのだと思います。ただ、覚えていられない、忘れてしまうということなのでしょう。ですから、認知症の人は、「何もわからない」「全てわからなくなった」のではなくて、忘れてしまうことがあるということなのです。
本人はそのことによって強い不安に襲われたり、自信をなくしてしまうことがあります。ですから、まわりの人が、認知症についての理解を深め、できないところ、苦手なところを上手にサポートしてあげることが大切です。失敗するからといって叱りつけたりすると、ますます自信をなくしたり、うつになるなど、症状が悪化することもあります。失敗はするけれどもできる事もあるのだから「大丈夫だよ」とわかってあげて、認知症ごとその人を受けとめてあげることで、症状の進行を遅らせたり、緩和することができるそうです。
このことって、認知症に限らず、誰にでも同じことがいえるのではないでしょうか。子どもだって、いつも叱られてばかりいたら、自己肯定感は育たないし、自信も持てず、自ら考えたり、積極的にものごとに取り組んだりすることはしなくなってしまいます。大人に「教えてあげなくては」、「子どもをきちっとしつけないといけない」という思いが強くてついつい、大人の思うように子どもにやらせよう、子どもを動かそうとして、指示ばかりしたり、否定的なことばがけが多くなったりしてしまうことがあります。気をつけないと、せっかく子どもが育つようにと思ってしていることが、反対に子どもの負担となり、発達を妨げることになることがあります。子どものやりたいこと(発達)を理解し、思う存分できるよう保障してあげることが子どもの満足につながり、その満たされた気持ちが、自信や自己肯定感を育み、他の人も認める基礎となり、未来を切り開く力をつけることにつながってゆくのです。
講演会で認知症の話を聞いていたら、そんなことが連想されました。