このところ、認知症について学ぶ機会が何度かありました。まずは、当園が学童保育を行っているめぐみ精舎、このめぐみ精舎主宰の講演会「お話しの会」が毎月18日に行われています。10月の講演会には市原地域包括支援センターの皆さんが来て下さって認知症についてわかりやすくお話しして下さいました。認知症ってことばは知っているけれども、詳しくはわからない。という方も多いのではないでしょうか。私も何かの機会に話を聞いていましたが、詳しいことはわかりにくいままでした。
最初に、何年か前に放送されたNHKの番組を鑑賞しました。若年性認知症になってしまった男性と男性を支える妻の生活を描きながら、男性本人が自分自身について語るという内容です。男性は、さっき聞いたことが思い出せない、だから今日の予定は紙に書いて何度も読み返す。出かけると帰り道がわからなくなるので、ひとりでは出かけないようにしているといったことに気をつけているそうです。
今聞いたことが覚えていられない、出かけて家に帰ろうと思っても帰り道が思い出せない。それってどんな感覚なんだろうと思います。
覚えていられない、忘れてしまうという自分がいるということをしっかりと認識はしているのだけれど、やっぱり忘れてしまう。そんな自分の状態を受け入れるのは辛いことなのではないかと思います。「なぜ、自分は覚えていられないんだろう?そんなはずはないのに!」という感覚というのか、そんな自分自身を受け入れ認める。その心のハードルを越えるのは大変なことなのだろうと思います。
番組の最後のシーンでは、その男性が、自分自身の今の状態や今までの体験を大勢の人の前で演壇に立って語っていらっしゃいました。これまで大きな葛藤や苦しみがあったのだろうと想像しましたが、淡々と語られるその姿に心を動かされました。最後にその方は、自分が今こうしていられるのは、妻のおかけです。心からありがとうと言いたいと締めくくっていらっしゃいました。そのことばを聞いて、胸が熱くなりました。