急ぎ足で見ても1時間かかった1階の展示、ジオラマを異なる高さから見られるように配置されたスロープを進み、ずらっと並べられた恐竜の全体骨格標本の上からの眺めを楽しみながら歩いているといつの間にか2階に来ていました。
2階は「生命の歴史」というテーマの展示です。46億年という地球の歴史の中で、生まれ、育まれてきた生命の歴史が紹介されています。
最も古い化石というのが、西オーストラリアのピルバラで発見された35億年前の地層から見つかった繊維状の微化石です。さらに南西グリーンランドのイスア地域で生物起源とみられる成分がみつかり、38億年から39億年前には生物がいたということが示されているそうです。このイスアで発見されたのはふつうの化石とは異なり、生物の形を残していません。「生物起源とみられる成分」というように、化学分析の結果から生物起源であると判断される化石で、このような化石を化学化石と呼ぶのだそうです。
38億年前には生物起源と思われる生物が存在していた。そして、生物としての形がわかる化石は、前出のピルバラで発見された微化石です。微化石というように、大きさはミクロン単位なので、顕微鏡で探すしかありません。石を顕微鏡で調べてミクロン単位の大きさの化石を探すなんて、どうやったらできるのだろうと不思議に思います。このような研究の成果で、35億年前には既に多様な生物がいた事が明らかになっているのです。
そして、27億年くらい前には、シアノバクテリアが現れました。シアノバクテリアは、無尽蔵ともいえる海水中の水素を利用して光合成を行う事ができたことと、様々な環境に適応しやすかったので大繁殖しました。そして、シアノバクテリアが副産物として作る酸素が海水中の鉄を酸化沈殿させ、大気中の酸素濃度を高めたことで、地球環境は大きく変化しました。この酸素濃度の上昇という環境変化が酸素を使って大きなエネルギーを得ることのできる生物が誕生するきっかけとなるなど、その後の生物の進化に大きな影響を与えているようです。生命と環境とが互いに影響しあいながら現在の地球環境は形成されていったことがわかります。
地球上に生命が発生した頃のことは想像すらできませんが、このような研究成果が紹介されていたのを見て、今、私たちがここにこうして生きていることには、想像できないくらい遠い昔にその原因があるのだということを、再認識しました。