園長ブログ

センス・オブ・ワンダー

2011/09/25

子どもたちの世界はいつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。

もしわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力を持っているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見張る感性」を授けてほしいと頼むでしょう。

この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。(『センス・オブ・ワンダー』新潮社P23)

 子どもたちの好奇心、探求心がいきいきと発揮される最良の方法のひとつは、自然の中で過ごすことです。子どもたちの感性に響くものやことがたくさんあって、子どもたちはそういったものを発見する天才です。背が低いからでしょうか、地面の上の不思議なものやおもしろいことをすぐに見つけます。そのときにその場で、そのよろこびや感激、不思議さを子どもたちといっしょに感じ、「すごいねー!」と一緒に感動する人が側にいることで、子どもたちがもともと持っている「センス・オブ・ワンダー」を鈍らせることは少なくなるのでしょうね。

現代の都市空間では、自然とは全く関係のないところで、きわめて快適な生活ができてしまいます。花の香りや鳥のさえずり、まとわりつくような湿度、冴え渡る月光、吹きすさぶ寒風や雪の美しさを感じたり意識しなくても普通に生活することができます。逆に蒸し暑さや凍てつくような寒さを感じないからこそ快適なのかもしれませんが…

いわば、自然の巡りを感じたり自然の営みから切り離されて生きていることが多いのです。このことが、様々な現代人のストレスの原因になっているように思います。ときには「自然という力の源泉」に近づき、自然の巡りを肌で感じ、人間も自然の一部である感覚を取り戻すことが必要なのではないでしょうか。

近代文明の発達とともに、自然を支配し、自然を思うままにできると過信してきた大人は、「センス・オブ・ワンダー」を鈍らせたか、なくしてしまったのでしょう。そのために、全てをわかったつもりになって自分たちが頂点に立っているような錯覚にとらわれているのではないでしょうか。その幻想の美酒に酔ってしまい、揺すられても水を浴びせられても、なかなか目が覚めない状態に陥ってしまっていないでしょうか。

自分自身の生活を振り返ることから、今一番大切にしなくてはならないものはなにかをもう一度見つめ直してみる必要があると思います。

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