園長ブログ

「レイチェルカーソンの感性の森」

2011/09/22

先日、久しぶりに映画を見ました。映画館に行って映画を見るなんて何年ぶりでしょう。見たのは「レイチェルカーソンの感性の森」劇場は京都シネマです。

レイチェルカーソンは、海洋生物学者であり作家、その有名な著書『沈黙の春』において、世界で初めて農薬や殺虫剤による環境汚染の危険性を告発しました。これがきっかけとなって、アメリカではDDTの使用が禁止されるなど、大きな影響を与えました。

レイチェルカーソンの遺作となった『センスオブワンダー』を映画化したのがこの作品です。

センスオブワンダーのセンス(sense)は感覚や感じ、感性の意味。ワンダー(wonder)は驚異、驚く、不思議に思う等の意味です。「ぅわー! なにこれ !? すごい! なんで?」と感じられる、そう思えるセンスがあるという感じでしょうか。日本語訳の『センスオブワンダー』(レイチェルカーソン著 上遠恵子訳 新潮社)には「神秘さや不思議さに目をみはる感性」と訳されています。ちなみにワンダー(wonder)がたくさんある、(wonder)で満たされるのがワンダフル(wonderful)です。

61席の小さなシネマは平日の午前中にもかかわらず、半分以上の席が埋まっていました。映画が始まって最初に驚いたのは、「この映画は2本のインタビューから成っています。」と字幕に出てきたことです。「1時間のあいだ、ずっとインタビューシーンが続くの?最後まで見られるかな?」と思ってしまいました。確かに、レイチェルカーソン役のカイウラニ・リーが一人で話し続けるのですが、レイチェルカーソンが1964年に帰らぬ人となっていることを意識しなおさないと、レイチェルカーソン自身が出演していると思ってしまうほどです。それもそのはず、主演のカイウラニ・リーは、一人劇「センスオブワンダー」の脚本を自ら執筆し18年間にわたって世界中で演じ続けてきた女優さんです。

映画の前半は、メイン州の海岸にあるレイチェルカーソンが実際に過ごしたコテージで撮影され、周りの豊かな自然を織り交ぜた美しい映像と、その自然をレイチェルカーソンが愛でる様子が魅力的でした。また、亡くなる8ヶ月前、自宅で講演の準備をしながら話すレイチェルカーソンの少し疲れたような様子を描いた後半も印象的でした。『沈黙の春』を執筆したことによる賛否両論の渦に巻き込まれ、病と闘い、疲れ果てながらも自ら伝えたいことを伝え続けようとする姿は感動的で、勇気をもらいました。

スクロール