人と人が関わる、社会の中で生きるようにできている。長い進化の過程でそのことが遺伝子に組み込まれているのなら、どのような社会であると良いのでしょうか。人間同士の関係でいえば、ひとり一人違う人と人が、それぞれ違うままにお互いに認め合い、助け合い、自分の特長や得意なことを活かしてみんなのしあわせに貢献できることではないかと考えています。「みんながしあわせになれる」といえるでしょうか。
子どもたちが毎日唱えているお祈りのことばのなかに「私たちはまごころをもって世につくす人となる」ということばがあります。誰かを批判や否定するのではなく、まして蹴落とすのではなく、助け合うことができる。そんな社会だといいなと思います。
人間同士だけではなく、ありとあらゆる生き物との関係も、生物に限らず非生物との関係も、全てがわかるわけではありません、というより、わからないことの方が多いのですが、どこかで繋がっているのではないかと意識しながら日々を暮らしてゆけると良と思うのです。よくつかわれることばで表せば「共生」ということでしょうか。
そのために、子どもたちに何が必要なのでしょうか。先ず、その子がその子としてそのまま認められることです。そして、もともと持っている豊かな探求心に従って、自発的に主体的に思う存分世界と関わる事だと思います。そのために保育園は、まず子どもにとって居心地の良い場でなくてはなりません。子どもが安心して心も身体もすこやかでいられ、自分を思う存分発揮して認められる場であることが必要です。
保育者は、どんな子どもも受けとめ、共感し、寄り添う。自分がその子になったつもりでその子のことを想う。そのうえで、ひとり一人の子どもの探求心を刺激する環境を用意したり、不思議だな、なぜだろう、と思えるような声がけやきっかけ作りをしたりすることで、子どもたちが自発的に環境に関わる機会を提供してゆきます。そして、ちょっと困ったときや不安になった時にはいつでも戻ってきて安心できるよう、いつも見守っている存在でいる。子どもが何かを指さしたとき、「あれ見て。」といったときに子どもが見ているものと同じものを一緒に見る事ができるように見守っていることです。そしてその背景には、子どもを丸ごと信じる姿勢が必要となってくるのです。
そんな環境の中で子どもたちが自分を発揮していきいきと活動することで子どもの自己肯定感が育ち、自信を持つことができるのだと思います。