ある日ランチルームの壁に、逆上がり、前回り、足抜きまわりなど鉄棒の技を書いた紙が貼り出されていました。子どもたちが自分ができるようになった技のところに自分のシールを貼ってゆくようです。子どもたちは自分のシールが増えることも嬉しく思いますし、次は何に挑戦しようかなと見通しを持つこともできます。そんな方法で、子どもの意欲を高めることもできます。
挑戦したいけれども、どこか躊躇している子はさりげなく誘ってみたり、他の子が楽しそうに取り組んでいる姿を見る事ができるようにして、「やりたくなったら知らせてね」と声をかけておくと自分から知らせてくることもあります。なかなかやろうとしない子は、友だちが誘ったり、教えてあげたりしていることもあります。
その子が、あまりやりたがらないからといって、そのままにしておいたら、もしかしたら味わえるかもしれない楽しい世界を味わうチャンスを奪ってしまうことになるかもしれません。ですから、先生達はいろいろな環境を用意することで、その子が自ら取り組むことができるように工夫しています。「できないと思っていても、やってみたらできた」「友だちに励ましてもらったら勇気が湧いてきた」「やってみたら意外と楽しい」「先生が見守ってくれているから安心」など少し道をつけてあげれば、意欲を持って取り組むことができることもありますし、楽しさを感じることもできるのです。
私はよく先生達に運動会の練習はしなくてよいと言っていますが、決して何もしないのではなく、「運動会でみんなに見てほしいから、頑張って練習しよう!」と子どもが思えるなら、それは運動会のための練習ではなくて、子どもの意欲を引き出すきっかけとして運動会があるということなので、良いと考えます。普段から子どもたちひとり一人の発達を促すことをしていれば、わざわざ運動会のための練習をする必要はないと思います。
運動会はなんのためにあるのか、ということをしっかりと共有しておく必要があります。