子どもたちは健康で、情緒的に安定した生活をする事により、外の世界に関わってゆこうとする意欲がどんどん生まれてきます。その最初にあるのは興味関心です。「砂の山から水を流したらどうなるのだろう。」「のぼり棒のてっぺんまで登ってみたい。」「ともだちに手紙を書きたい。」様々な興味関心が子どもたちの心に芽生えます。そして、それは子どもひとり一人で異なります。ですから、子どもが自ら興味関心を持って取り組むことができるさまざまな環境が用意されていると、子どもたちは自分の興味関心を追求することができるのです。
ひとり一人というと、それぞれに自分勝手なことをするのかと誤解されそうですが、一人でやりたいこともあれば、ともだちと協力したり役割分担をしてやることが楽しいこともあります。この興味関心から、やってみたい、試してみたいという意欲が生まれ、その意欲が様々なことに挑戦する原動力となってゆきます。
子どもが主体的に興味関心をもち自発的に活動するのです。とういと保育者は何もしないで子どもを放っておけばよいのかという誤解も受けそうですが、もちろんそうではありません。それでは放任になってしまいます。
保育者は子どもが興味関心を持てるよう様々な人、物、場といった環境を構成します。興味を持ちそうな物を用意したり、遊びを提案したり、課題を投げかてみたり、誘ってみたり、そこには保育者の意図があります。「子どもは遊ぶことで学ぶ」といいますが、「幼児をただ遊ばせているだけでは,幼児の主体的な活動を促すことにはならない」(幼稚園教育要領解説)といわれるように、放任していては、子どもの発達を促すことはできないのです。
かといって、保育者が計画した通りに子どもを動かそうとすることは、子どもの主体的な活動を促すことにはなりませんし、自発的な活動としての遊びではなくなってしまいます。「保育士等の意図性が強くなると、子どもが負担感を感じることも考えられます。」(保育所保育指針解説)
ひとり一人異なる子どもが主体的、自発的に環境に関わって発達できるようにすることが保育者の役目であり専門性なのです。
子どもたちがとても意欲的に運動会に取り組んでいたのは、先生達がひとり一人の子どもを受けて止め、意図を持って環境を構成していたからなのです。