園長ブログ

楽譜

2013/09/18

コミュニケーションのとり方による伝え方の違いを見ていたのでしたが、しばらく話題がそれて、行事や台風になってしまいました。

日本は世界の中で最も高コンテクスト社会だとアメリカの文化人類学者エドワード・ホール氏は言っています。高コンテクスト文化を持つ社会では、ことば以外の社会的習慣や人間関係などに依存する割合の高く、聞き手に「察する」「文脈を読む」ことが求められることが多く、低コンテクスト文化を持つ社会では、ことば以外のものに依存しない傾向が強く、一から十までことばで説明する必要があり、直接的ではっきりした表現が必要とされるという考え方です。

伝統的な職人技などは、ことばで説明するだけで伝えきれるものではありませんし、それは程度の差こそあれ、洋の東西を問わずそうなのだと思います。

音楽においてもそんな傾向があるかもしれません。園で先生達がピアノを弾くときは、五線譜を使っています。現在音楽、特に西洋音楽を楽譜に表すための記譜法で用いられているのはこの五線記譜法が一般的です。五線の上に音符や休符が並べられ、音の高さや音の長さ、時間的要素を表します。その他様々な記号を用いて、演奏に必要な要素を表しています。歌がある場合は歌詞も付されるでしょう。かなり細かな要素まで決められていて、楽譜が読めれば、演奏ができます。

お寺では、よく声明(しょうみょう)が唱えられます。声明は経文に一定の旋律をつけて、法要などで唱えられるものです。簡単にいえばお経に音楽がついていると思っていただいてもいいでしょう。この声明を唱えるにあたっては、ピアノを弾くときのような五線譜は基本的には用いません。音の高さや旋律を表す博士(はかせ)といわれる印が使われます。これがしっかりと読めれば、唱えられないことはありませんが、音の長さなど時間的要素はそこには表されていません。それでも、みんなで唱える、いわゆる合唱することができます。

日本の文化は、音楽を楽譜に表すにも、すべてを表すことはしないのでしょうか。

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