私たちは様々な製品に取り囲まれて生活しています。これらの製品の取扱説明書には「警告」や「注意」として、いろいろなことが書かれています。これらの表示が増えたのは平成6年に製造物責任法が施行されてからだと思います。PL(product liability)法といわれ、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めた法律です。
ここええいう欠陥には、設計自体に問題があるために安全性を欠いた場合(設計上の欠陥)、製造物が設計や仕様どおりに製造されなかったために安全性を欠いた場合(製造上の欠陥)、製造物から除くことが不可能な危険がある場合に、その危険に関する適切な情報を与えなかった場合、取扱説明書の記述に不備がある場合(指示・警告上の欠陥)があるそうで、取扱説明書に、警告や注意が事細かに書かれていないと、指示・警告上の欠陥にあたる可能性があるのです。
取扱説明書のこういった表示を呼んでいると、「そんなことわざわざ書かなくても・・・」と思うことが書いてあることがあります。やはり、いちいちことばで説明しないとダメなのです。「〜をしてはいけない」と書いてなかったので、〜したら、損害を被ったと言われかねないと言うことです。
ある博物館の方からこんな話を聞きました。その博物館の自然科学部門の展示の中に、標本瓶に入ったホルマリン漬けのきのこの標本があります。ある日、担当社の方がふと見たら、観覧者が標本瓶のふたを開けて、中のきのこを触ろうとしていたというのです。そんなことしたら危ないですよ。というと、その観覧者は触ってはいけないと書いてなかったので、触ろうと思ったのだと言ったそうです。
また、人文系の展示の中に、文人の書斎を家屋のまま観覧できる展示がありますが、その書斎に上がり込んで、お弁当を食べている人がいたという嘘のような本当の話があったそうです。そこに入っていただいては困りますというと、入るなとは書いてなかったから入ったとおっしゃったそうです。若い人は皆まで言わないとわからないのかなと思ったら、結構年配の方だったそうです。ちょっと信じられないかもしれませんが、本当の話です。
ここまでくると、高コンテクスト、低コンテクストとかいう問題で葉ないような気もします。なんでも逐一説明しないといけなくなっているのでしょうか。