ブータンの第2回目の総選挙で野党が勝利し、政権が交代するだろうと報道されていました。その背景として、野党が中国に接近したことで、最大の援助国であるインドからの援助が一部停止されたこと、失業問題、格差問題等があげられると、いろいろな新聞で報道されていました。京都新聞では、テレビ放送や携帯電話サービスなどの情報化が進んだことで、地方出身者が都市部と地方の農村部と差を情報化の中で知るようになり、少しでも富を得ようと都市部に流入しているのが、現在のブータンの状況だと解説していました。新聞によって少し視点が違うのがおもしろいと思います。
首都ティンプーの通りを歩くと、韓国ドラマの俳優やアイドルの髪型ファッションをまねた若者とすれ違うが、短い髪をオレンジ色に染めた彼らのひとりは「海賊版のDVDでドラマや映画を見るのがたのしみ。GNHはもちろん知っているけど、実感として分からない。」という。と記事にありました。2005年の政府の調査では、地方在住の96%がしあわせと答えたが、今調査をやれば、この数字より低いのは確実。という人もいるそうです。
以前、ティンプーに行ったときには、ほとんどの人が、男性は「ゴ」女性は「キラ」という民族衣装をまとっていたのを覚えています。20年ほど前のことなので当然かもしれませんが、韓国ドラマのアイドルの髪型やファッションをまね、髪をオレンジ色に染めたひとはいませんでした。これが変化なのでしょうね。
農業を営み自給自足や相互扶助のなかで、「しあわせ」と感じていたブータンの農村の人々、情報化によって外の世界のことを知るようになって、テレビで見るようなものがほしい、あんな生活をしてみたい。と思うようになったということでしょうか。それほど単純なことではないのかもしれませんが・・・
情報化によって、いろいろなことを知ることにより、あれがほしい、これもほしいと欲望をかき立てられる。そうすると今まで満たされていた心が、満たされなくなってしあわせを感じられなくなるのでしょうか。それなら、入ってくる情報を制限して外の世界を知らないまま過ごしていた方が、しあわせだったということになります。それもどこか変な気がします。しあわせってなんでしょう?どこにあるのでしょうか?