ブータンの2回目の総選挙で、野党が圧勝した背景を、各紙が報じていましたが、京都新聞の記事は少し異なった視点でとらえられていました。「総選挙で変革を求める民意の後押しを受けた野党が勝利。都市化や情報化が進む中、しあわせに対する意識が徐々に変化、より良い生活を率直に求める層が増えていることが背景にある。」
としています。これまで自給自足や相互扶助で成り立ってきた農業社会のブータンで、GNHは国民に指示され浸透してきた。ところが、1999年にテレビが解禁され、2003年に携帯電話サービスが始まることで情報化が進んだことで、外国の情報が入ってくる。都市部と地方の所得や発展の差を地方出身者が知るようになる。そうすると少しでも富を得ようと都市部に流入してくる人が増えているのが現状なのだそうです。今回の選挙では今まで変化を求めなかった地方の選挙区で野党が勝利したことで、変革を求める民意がはっきりしたと考えられる。都市と地方の格差があまりにも大きくなり、国民が等しくGNHの理念を共有できない状況になっているとしています。
外から入ってくる情報が少ない時はそれなりにしあわせを感じることができていたのに、様々な情報に触れることで格差を知り、現状に満足できなくなってそれまで感じていたしあわせが感じられなくなってしまった。ということなのでしょうか。情報化が進み、より多くのことを知れば知るほど、しあわせは遠ざかってゆくのでしょうか。
人間の欲望には際限がないので、どんなに豊かになっても、さらにもっとほしくなってしまうのでしょう。知足ということがあります。文字通り足るを知るということです。「私にはこれで充分」と思う事ができれば、しあわせは逃げてゆかないのかもしれません。