当園では現在一時保育を行っていません。在籍する園児の数が増えて、一時保育のお子さんを受け入れる余裕がないのです。しかし、この夏特別な事情でひとりのお子さんを1ヶ月だけお預かりしました。
5歳の女の子Aちゃん、最初は慣れてくれるかと少し心配しました。初日はもちろん緊張していたとは思いますが、みんなの前で紹介すると、はっきりと自分の名前を言い、2〜3日もすると表情も柔らかく笑顔も見えるようになってきて、友達と笑い会う姿も見られたので、安心しました。
子どもの力はすごいものです。すぐに仲良くなれるんです。この力って本当にすばらしいと思います。どうして大人はこの能力が低くなってしまうのでしょう。きっと人間には社会を築くために誰かと仲良くなる力、人と関わる力がもともと備わっていて、子どもはそれをフルに発揮してすぐに仲良くなれるのでしょう。大人は様々な刷り込みや我欲が増えてゆき、もともと持っていた誰とでも仲良くなる能力が輝きを失ってしまうのかもしれません。
ちょうどAちゃんがいた頃に子どもたちの間で鉄棒、特に逆上がりが流行っていたので、Aちゃんもやってみようと思ったのでしょう。よく挑戦していました。すると時々逆上がりの得意な子が側に来て、一緒に逆上がりしながら教えていました。少し教えたかと思うとその子はスッとどこかへ行ってしまい、またしばらくすると戻ってきてアドバイスをしていました。ずっと付きっきりではなく、必要なポイントだけ伝え、後は本人に任せていたのでしょう。きっとそれは意識してそうしていたのではなく、自然にそれができてしまうのだと思います。
一時保育の期間も残り少なくなってきたころ、運動会も近づいてきました。前にも書いたように、年長児は自分の目標に向かって、鉄棒、跳び箱、登り棒に挑戦していました。そうやってみんなで一緒に励まし合いながら取り組んできたこともあったのでしょう。Aちゃんは一時保育の期間が終わっていたにもかかわらず、友達が運動会で頑張るのを応援したいと運動会に来てくれました。友達のがんばりを応援したいという気持ちを持ってくれたことがとてもうれしく思えました。
先日、ご両親が来園されお話を伺っていたら、登り棒に挑戦していた子が運動会当日に頑張ってやり遂げたのを見て、Aちゃんは自分のことのように喜んでくれていたそうです。どうりで「ゆりぐみさんかっこよかったよ」というメッセージの入ったステキな手紙をくれたはずです。
たった1ヶ月のあいだ一緒に過ごしただけなのに、ここまで気持ちを通い合わせることができる。子どもってとてもステキですね。