おとまり保育の楽しみはもちろん食事だけではありません。みんなでどうやって楽しむかも、話し合ったり考えたようです。おとまり保育全体が子どもたちにとって特別な2日間なのですが。そのなかでも特にスペシャルな時間といえば、夕方からお布団に入るまでの時間ではないでしょうか。先生が子どもたちに「おとまり保育で何が一番楽しかった?」と尋ねたところ、この時間帯の活動を楽しいと感じていた子が多かったようです。
準備から片付けまでの多くを自分たちで行った夕食も楽しい時間ですし、みんなで入るお風呂も特別です。といっても園にお風呂があるわけではありません。先生が事前に子どもたちに「お風呂はどうする」と尋ねると、これもいろいろな意見が出たそうです。近くにある「くらま温泉」(最近人気の入浴施設です)にみんなで行こうという意見があったり、簡易シャワーを使うという子もいました。最終的には普段使っているプールにお湯をはり、露天風呂にしてみんなで入ろうという案に落ち着いたようです。
普段のプール遊びでは、鞍馬の水は冷たいので少しお湯を足している程度ですが、このときばかりは給湯器をフル稼動させる必要があります。ところが、お湯を一気に出し過ぎたからか、ガスメーターがガス漏れと勘違いして、お湯がストップ。私たちでは復旧できなくなってしまい、業者さんを呼ぶことに。しかし、業者さんが到着するまでは1時間以上かかります。(田舎の不便なところです)
「お風呂が・・・」と、職員は一瞬青ざめましたが、機転の利く先生が何人かいて、園舎の反対側のシャワールームならガスの系統が違うのでお湯が出るはず。ホースを延長してそこからお湯を引こうということになりました。そう決まったら、早いもので、ホースをつなぐことができる蛇口に取り替えるなど様々な工夫をして給湯成功。業者さんが来てくださるまでなんとかつなぎました。みんなが心を合わせ力を合わせることで、何とかピンチは乗り越えられました。
ようやく、お湯がたまった露天風呂に入った子どもたち。この時期にしては湿度が低くさわやかな空気に包まれながら、少しトーンの落ちた青い空を眺めながら入る露天風呂は気持ちいいに違いありません。私も思わず入りたくなりました。あまりの気持ちよさに興奮気味の子どもたちはキャーキャーはしゃいでいます。その中で、Sくんは「せっかく気持ちいいお風呂なんだから、静かに入ろうよ。ほら、静かにして!セミの声が聞こえる。セミもきもちいい〜」って言ってるよ。そのことばに他の子どもたちも耳を澄ませてセミの声に聞き入っていました。
Sくんのひとことにとても心が和み、黄昏の柔らかな光に包まれたその場が、更にやわらかさを増したように感じたのは私だけではなかったはずです。