妬みの感情が起こる場合というのは、自分にとって関連や関心の高い分野において、優れたものや特性を他人がもっているときで、自分も手に入れたいとか、その人がそれを失えば良いのになどと思ってしまいますが、他人がもっているものがいくら優れていても自分にとって興味や関心のないものであれば、妬みはあまり生じません。自分にとって価値があるものは、自分が生きてゆく上で必要なもののはずなので、そこにより価値の高いものを求めるのは自然なことなのかもしれません。
妬みに関係する脳の部位に前部帯状回という部分があるそうですが、前部帯状回は同時に相手の心を理解しようとすること、同情や誰かのために何かをする利他的なこと、共感などにも関係しているともいわれます。
また、前部帯状回は、物事の順序にこだわたり、たとえそれが無意味だとわかっていても、これをやらなくてはならないといった観念に駆られるなどの強迫性、つまり「こだわり」と関係しているともいわれており、前部帯状回の活性が適切な刺激がないにもかかわらず過剰に高まると脅迫障害のような症状が起こるそうです。
前部帯状回は脳内のいろいろな部分からの情報を統合して行動の意欲や動機づけ、感情に関する情報処理の優先度を設定する役割を持ち、いろいろな脳の領域と相互に関わって、認知や行動に関わる機能や記憶に関係しているともいわれています。
私たちは、ついつい妬みと、人の心を思いやったり、共感することは対立概念だと考えがちですし、時歳そういう側面もあるのですが、生きてゆく上で必要な心の動きを様々な形で表出させるという観点からすれば、それほど大きな違いはないのかもしれません。