梅雨が明けて、天気が良い日が続くので、園庭で遊ぶ子どもが多くなっています。少し前になりますが、園庭にある鉄棒や登り棒に挑戦する子どもが多くいました。「鉄棒の上に座りたい」「まえまわりがしたい」「さかあがりができるようになりたい」そんな想いで一生懸命に練習する子どもたち、一人が始めると、何人かに連鎖していって、競い合ったり、励まし合ったり、教え合ったりしながら練習しています。
子どもが行き詰まってしまった時には、先生たちは「大丈夫?」「困っていない?」とそっと声をかけます。どうしてもできないから教えてほしいと子どもから頼まれると、ポイントを少しアドバイスしていました。私はすぐに1から10まで教えたくなるのですが、それでは子どもは自分で考えたり工夫しなくなります。
子どもも自分で努力していると、少しのアドバイスがよくわかるようで、ちょっとしたきっかけで、できるようになります。
5歳児が中心になって頑張っていましたが、そのうちそれが他の子どもたちにも広がって、4歳児たちも挑戦している姿がよく見られました。ある日の夕方、園庭にいると4歳児の女の子が、「先生こっち来て」と私を鉄棒の方に引っ張っていって、「見ててや!」といって、くるっとさかあがりをしました。少し前に挑戦していたときには、まだ練習が必要かなと思って見ていたのですが、思ったより早くできるようになっていたので、驚きました。「できるようになりたい!」と思って練習してきた姿が目に浮かびます。
子どもどうしってとっても伝わると思います。子どもどうしで、あこがれたり、励まし合ったり、教え合ったり、競い合ったりするなかで、やってみよう!という気持ちが生まれ、それが子どもを動かします。大人が「やりなさい」と言うより、子どもどうしの方が「やろう!」という気持ちが生まれやすいようです。だからこそ、年齢性別などいろいろな子どもが一緒に過ごすことが大切なのです。
そんな前向きな気持ちが生まれるには、その基礎となる自己肯定感や自信を子どもが持つことが必要です。そのために必要なのが心の安心基地となる大人の存在です。それは、親かもしれませんし保育者かもしれません。もし、もくじけた時は、いつでも戻ってきていいんだよ。と受けとめてもらえる安心基地があるからこそ、どんどん挑戦する気持ちが生まれます。そのためには、子どもが「大丈夫かな?」とふりかえったときに、「うん!大丈夫だよ!」と視線を送ってあげられるように、子どもを見ていることが大切です。