函館市縄文文化交流センターには南茅部縄文遺跡群を中心として、函館市の縄文遺跡から出土した遺物が展示されています。こんなにたくさんの縄文時代の遺跡が函館にあり、しかも約9,000年前(縄文早期)から2,000年前(縄文晩期)までの縄文時代の長い期間にわたる遺跡群があったことは知りませんでした。展示室にはそれらの遺跡から出土した土器や石器・骨角器など様々な道具がそれがどのように使われたかがよくわかるように展示されています。石槍や石斧、石鏃などの石器や釣り針などがたくさん展示してありました。石器をよく見ているととても繊細で美しい造形で、どのようにして創ったのだろうと思ってしまいます。
これらの道具と共にサケ・タラ・マグロなどの魚類、ウニ・カキ・オットセイ・クジラといった海産物や,クリ・クルミ・トチ・ブドウといった植物の種子など当時の食生活をうかがわせるものが出土しているそうです。縄文の人々は季節ごとに豊かなめぐみをもたらす自然に寄り添い、そのめぐみを生活に活かすための様々な技術や道具を生み出していった。「自然を観察することから得られた知恵が縄文文化を支える源となった。」と解説されていました。
続いて展示されていた大船遺跡の大規模集落の竪穴式住居の遺構についての解説には驚きました。大船遺跡は縄文時代中期(約5,400~4,100年前)を中心とした大規模な集落跡ですが、竪穴式住居の遺構の大きさは想像以上です。深さが2.4メートルもあり、具体的な面積はわかりませんでしたが、かなり広いのです。柱を立てたであろう穴が10ほどあり、ちょっとしたビルの基礎工事という感じです。これほど大きな建物を建てる技術があったのです。
縄文時代の人々は、想像していた以上に豊かな生活を送っていたようです。そしてそれは、自然のめぐりをよく観察、理解し、自然に寄り添って生きてきたことにありそうです。自然から遠ざかってしまった私たちが、見習うところがあるのかもしれません。