「ありえないということはありえない」赤ちゃん学会、ラウンドテーブルでの発表者のことばです。子どもが様々な症状によって何かの障害があると診断されたとしても、その症状が必ずしも続くとは限らない。ということです。
3歳3カ月検診で、歩くことはできないだろうと診断された子が、5歳になったら走ることができるようになった。といった実例をあげて、「この子が歩くことはありえないなどということはありえない」と発表してくださいました。障害があると診断されても、それは固定的なものではなく、変化してゆく可能性は十分にあるということです。
そして、「これは、大人の力ではなくて、子どもの発達に応じた環境と子ども集団の力、子どもどうしの関わりだ。」とおっしゃっていました。
自発的に環境に関わることで発達する子どもに対して、どのような物的、空間的、人的環境を整えるのか。その環境が適切であれば、歩けるようになることはないと診断された子どもでも走れるようになった。それは「発達に応じた環境を用意し、子ども集団の中で子どもどうしが関わり合うということ」によるところが大きいということです。
子どもは自ら育つ力をもっていて、その力は適切な環境を用意することで、発揮されるのです。その中の重要な環境の一つが、子どもどうしの関わりなのです。
もちろん、子ども集団があれば、歩けない子が必ず歩けるようになるといっているのではありませんし、どんな子どもに対しても、何もしないのが良いのでもありません。
大切なのは、まず子どもを一人の人として見ているのかどうか。そして一人ひとりの発達を理解し、その子に応じた環境を用意できているか。子ども同士の関わりを大切にしているか。なのだと思います。
子どもは発達してゆきます。そのスピードや、偏り方は子どもによってまちまちです。平均的な子もいれば、とてもゆっくりな子もいるし、偏りが大きい子もいるでしょう。ですから、その子の今の発達を、生活年齢だけで判断しない方がよいのです。「5歳児だから○○ができなくてはならない」ではなくて、この子は今どんな発達を遂げたいのだろと目の前の子どもに答えを求めることが必要なのだと思います。
「子どもの発達を基準として入学時期を決められると良いと思う。」発表者はこんなこともおっしゃっていました。