園長ブログ

赤ちゃん学会 4

2013/06/05

リズム遊びに焦点を当てることで子ども同士の関わり、特に3歳未満の子どもの関わりを、保育現場の視点から調査研究した、日本赤ちゃん学会第13回学術集会ラウンドテーブル1「保育所における乳幼児の関わり ―リズム遊びに焦点を置いて―」最後の発表は、新宿せいが保育園さんでした。

発表された保育士さんは、先ずリズムとは?という視点で考えて、音楽のリズム・ことばのリズム・生活のリズム・生体のリズム(呼吸)・四季のリズムがある。また、話し手、聞き手、呼吸や心拍といったコミュニケーションのリズムというのもあると分析されていました。

これを聞いて、「リズム」と聞くとすぐに音楽や、リズム遊びしか思いつかない固定概念に縛られている自分自身がいることに気付きました。やはり、根源や本質に立ち返って考える必要があります。

10カ月の子どもを真似する5カ月の子の例、目が合うとリズムが合う、リズムが合うと合わせることが楽しくなる子どもたちの様子から、リズムはことばを獲得する前の赤ちゃんの非言語コミュニケーションだともおっしゃっていました。

印象深かった動画は、「まんまんま・・・」と声を出す赤ちゃんに、先生が「まんまんま・・・」同じような音声で働きかけてみたら、赤ちゃんが笑顔になって更に声を重ねてくる。更に先生が声を重ねると、もっと重ねてくる。そのうち嬉しくなって、笑顔満面のハイハイで先生に近づいて来るというものでした。

このようなことから、共鳴し合うのは楽器だけではない。0歳児でもとても関わりが見られる。乳児たちはことばを獲得する前からリズムをはじめとした非言語コミュニケーションを繰り返して、多様な人々との関わり、自ら成長してゆく基盤を作っている。そのためには乳児期から多様な存在とかかわり、豊かなコミュニケーションの機会が増えることが望ましい。保育園ができるのは、子どもが多様な存在と豊かに関わる事ができる環境を用意すること。リズムをはじめとした幅の広いコミュニケーションの経験を思う存分積み重ねることができる環境を用意することだと結論づけていらっしゃいました。

この発表から、普段保育の中で何気なく見られそうな場面を、テーマ(問題意識)をもってしっかりと見つめ、丁寧に記録することで、様々なことが明らかになって来るのだと実感しました。何気ない日常を、高い意識を持って見つめ、ひとつひとつを丁寧におこない、本質に立ち返って深く考えることの重要性を改めて痛感しました。

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