赤ちゃん学会第13回学術集会では、まず「保育所における乳幼児の関わり ―リズム遊びに焦点を置いて―」というラウンドテーブルに参加しました。
このラウンドテーブルは、昨年の発表を更に発展させた形で行われましたので、まず昨年の発表を概観したいと思います。
2歳児には3歳児のように子ども同士で関わって遊ぶ姿は見られず、関わり合う、見合う、模倣し合う関係ではない。という調査結果(幼稚園における2歳 児受け入れに関する調査研究 全国幼稚園教育研究協議会)があります。一方、実際の保育現場では2歳児はもちろん1歳児や0歳児でも子ども同士が関わる姿は日常的に見られることを保育現場にいる保育者は経験的に知っています。企画者はこの差は、2歳になるまでの子ども同士が関わる経験の差ではないかという予測のもと、関東、九州の11都県41施設の保育所、 約1600人の在園児・一時保育利用児の子ども同士の関わりを、質問シートを用いて調査した結果をもとに「保育園で過ごす時間は、乳児においても子ども同士が関わる力を引き出している」更にそれを導く保育者の環境設定が重要だと分析されました。
このような調査を行う中で、1歳児の子どもたちが関わり合って遊ぶ姿が見られ、特にペットボトルにおはじきを入れて作ったマラカスで遊ぶ姿では、友だちが出す音に合わせてマラカスを鳴らしており、これはあきらかに相手に合わせて音を出すことを楽しんでいる姿だったそうです。これは、関わり合う、見合う、模倣し合うに止まらず、お互いのリズムを聴きながら合奏し合う姿です。こういった姿が1歳児クラスで見られることを踏まえて、今回の発表では子ども同士が関わり合って遊ぶ姿をリズム遊びに焦点をおいて発表してくださいました。
本来私たち人間は集団で生きる動物であり、赤ちゃんは集団の中で成長発達する力を持っていると考えられる。しかし、現代の超少子化社会、異年齢の子ども集団が希薄化した環境は私たちの祖先が長い間守り続けてきた子育て環境とは大きくかけ離れてしまっている。そこで、現在では貴重になってしまった異年齢の子ども集団の中で、乳児期から過ごした子どもたちがどのように関わり合っているのか、今回はリズム遊びを中心にそのエピソードを整理してゆきたい。
子ども集団で関わり遊ぶ経験は、社会生活を送る上での必要な力(社会性)を獲得してゆくことであり、今一度この子ども集団が持つ個々の子どもの発達を培う力を見直してゆきたい。(日本赤ちゃん学会第13回学術集会プログラム・抄録集P19)
と企画者は述べていらっしゃいます。