グローバルな人材の育成のために、コミュニケーションツールとしての英語はとても有効な手段です。英語を自在に操ることができれば、コミュニケーションの幅は確実に広がります。確かに小学校から英語に慣れ親しんでいれば、海外から来られた旅行者に英語で道を聞かれたときなどもわかりやすく答えることもできます。
コミュニケーションツールとして英語は有用ですが、そのツールを使いこなせなくては、いくら英語をうまく操ることができても宝の持ち腐れです。
話題が尽きなかったり、ユーモアのセンスがあったり、誰かとはなしをするのがとても上手な人がいます。一方で、何を話して良いかわからない、何か話さなくてはと思って緊張するなど、人と話すのが得意ではない人もいます。通常の日本語の会話でもそうなのです。その話すのが得意ではない人がいくら英語での会話をマスターしても、話すのが得意になるとは思えません。しかし、話すのが得意ではない人も、何か伝えたいことがあったり、話したいと思うことがあると、話をします。
外国語の習得の近道の一つに恋愛があると聞いたことがあります。「好きな人と話をしたい。」という気持ちが、コミュニケーションツールとしての外国語習得の原動力となるのです。
私の場合は恋愛ではありませんでしたが、高校生の時、留学していたニュージーランドで自動車の運転免許を取りたくて、一生懸命英語を勉強しました。運転免許の試験は英語が母語ではない人にもわかりやすいように使われているので、英語は簡単ですし交通ルールもかなりシンプルなのでそれほど難しくないのですが、もともと英語が大の苦手科目だった私にとっては挑戦のしがいがありました。試験は筆記と口述と実技があります。4択の筆記は問題と答えを覚えれば何とかなるのですが、口述は英語で聞かれた質問に英語で答えなければなりません。英語が苦手だった私でも、免許を取りたい一心で勉強しました。それ以来、英語を勉強することが、楽しくなりました。少し難しい表現に挑戦してみたら、その言い方は固すぎるからこういう言い方が良いよとアドバイスしてくれる友だちもいたこともあって、いろいろな言い方やニュアンスの違いを試したり、参考書を見て知った内容を実際に試してみると通じることがわかるようになったのを覚えています。
「何かをしたい」という強い気持ちが、問題を乗り越える原動力となります。だからこそ、子どもが、いろいろなことに「挑戦したい」「やってみたい」という気持ちがたくさん持てるような働きかけをしてゆく事が大切です。そうすれば、子どもは自分が必要だと思ったことに積極的に取り組み習得してゆく力を発揮することができるのです。英語もその中の一つなのだと思います。