体罰なんて全然入り込む余地のない方法で子どもたちが力を伸ばしている例がある。として、日本テレビの「世界一受けたい授業」武田鉄矢先生の新・教育白書(4月20日放送)で取り上げられていた高校がありました。
広島県立安芸南高校サッカー部、指導するのは畑喜美夫先生。部室や合宿所など、子どもたちが自主的に整理整頓している影像とともに映し出されていました。「自主的」「強制ではない」というテロップがながれ、子どもたちが自主的に整理整頓した場が映し出されていました。
畑先生は、「体罰をすることによって、人に言われなくては動けない指示待ち人間になってしまう」とおっしゃっていました。大人がやらせるのではなく、子どもが自ら主体的に動くことこそ子どもの実力に繋がるという発想だと思います。
サッカー部の練習メニューは1週間のうち土日が試合、月曜日から金曜日までの5日間で全体練習があるのが2日だけ、後の3日はフリーで、練習したくなければしなくても良いのだそうです。それで本当に強くなるの?と思いがちですが、畑先生は、子どもたちがフリーの時間に次の練習をどうするか、子どもたちが自分で考えるベースとなる時間をできるだけ多く取ることを目指していらっしゃるそうです。子どもたちが自分で考えるということがキーワードです。
週に2日しかない全体練習も、自分たちで決めた練習メニューをキャプテンが説明、子どもたちが自主的に練習をしていて、先生はそれをじっと「見守る」というスタンスです。そして、時々ひとり1人を呼んでは、なぜうまく行かなかった?何が悪かったと思う?と質問し、子どもたちが自分で答えを出せる環境を整えていらっしゃいました。そして、問題点は生徒同士で話し合うようにされていました。
印象的だった先生のコメントは、先生が「先走って言ってしまった時は、子どもたちの判断する場面を奪ってしまったな。失敗したな。と思う。そこをもっと我慢して、子どもたちが動き出す瞬間を大事にしてあげる。」ということでした。
先生が、ぐっと我慢することで、子どもたちが問題点を洗い出し、改善方法を見つけ出していました。先生は「僕の言おうと思っていたことはほとんど子どもたちが言っていた。」とおっしゃっていました。
徹底的に子どもたちを信じ、子どもたちの主体性に任せ、子どもたちが自ら考え、判断する機会をできるだけたくさん作り、そして子どもたちが自ら動き出すのをじっと我慢して待つ。そんな姿勢が、子どもたちの力を引き出すのでしょう。
こんな育て方こそ、当園が目指しているところです。体罰とまでは行かないにしても、どうしても大人の都合で、大人の思うように子どもを動かしたくなる。自分がやらせたい気持ちを抑えるのではなく、「教える」という美しいことばでくるんで、大人の我が儘を押し付けていないか、もう一度内省する必要がありそうです。