芸術作品から何を感じるのか?それは、見る人それぞれであって良い。ということを齊藤師の作品を拝見して、自分自身が感じたことと照らし合わせてみると、自分の内面が見えてくるようで、少し怖いような気持ちになりました。多くの作品から、和みや安らぎ、調和などが感じられました。特に動物の姿が描かれた作品には、ユーモラスさのようなものを感じました。
ところが「念」と題された作品に対したときは、何か自分自身の心に突き刺さるような感覚を覚えました。「念」は良い意味で、念ずること、祈ることなのかもしれませんが、私には、良くない「念」が描かれているように感じられてのです。
作品は、僧侶のような人が祈りを捧げているように見える構図です。私にはそう見えました。それはどんな祈りなのかはわかりませんが、私には、作品の中で人物の輪郭のように使われている青色の線が、気になって仕方なかったのです。その青色が、どうも自分の心の中の我が儘であったり。こうなってほしという自分勝手な都合、我が儘を表しているような気がして、思わず作品の前で立ち尽くしてしまいました。
まさに作品を見る人の感じ方です。自分自身の心が、反映されているのだろうと思います。
自分自身、心の中の我が儘な部分や我欲にとらわれている部分が、作品に反射して、自分に返ってきているのです。我欲を離れ、様々なことを素直な心で感じ受けとめられるようになれるとどんなに幸せなことでしょう。自分の中の我が儘な心にとらわれ振り回されることのないように、常に自分の心を見つめ、自分の心の状態を把握し、自分を律してゆくことが大切になってくるのでしょう。