園長ブログ

素直な心で

2013/05/02

齊藤眞成師の個展を見学させていただきました。齊藤師の作品を見るたびに思うのが、この造形はどのようにしてできあがるのだろうということです。そんなことを考えずにただ作品を感じれば良いのだと思いますが、ついそんな思いが浮かんできます。

以前、齊藤眞成師の個展が京都造形芸術大学で開催されていたときに、見学に伺ったことがありました。その時はたまたま見学者がいらっしゃらなくて、齊藤師と少し話すことができたので、失礼ながら、どのように作品を作られるのか思い切って尋ねてみました。そうしたら、「いろいろですが、思いつくままを描いてゆくのですよ。電話しながらメモに落書きすることがあるでしょ?あんな感じで描き始めたものが広がってゆくのですよ。」と答えてくださいました。包装紙に落書きするような気持ちで描いていたら、包装紙の模様がおもしろかったのでそれをそのまま作品になってしまったというエピソードも聞かせてくださいました。実際にそんな作品も見せていただきましたし、今回の個展にも出品されていました。

それを伺って、師はご自身の素直な心を解放して、作品に表現していらっしゃるのだと感じました。最初から最後まで素直な自分、ありのままの自分で作品を仕上げることはなかなかできる事ではないと思います。

私などは、少しでも良く見せたいとか、自分の我欲から出てくるいろいろな思いがすぐに邪魔をしてきます。自分の本心とはなにか、今感じていることが素直な自分の心から出てきていることなのか、常に自分の心に向き合い、心を見つめている必要がありそうです。知らず知らずのうちに我欲が心を覆い「我が儘」にしたくなってしまうからです。

齊藤師は、ご自身の心に向き合いながら作品を作っていらっしゃるのだろう。そんなことを思っていたことを、思い出しながら作品を見学させていただきました。

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