このところ、麹が気になっています。名前が同じなので親近感が湧くからではありません。知り合いから手作りの甘酒をいただき、その優しい甘さに感動したのが、きっかけです。とても甘いのに、砂糖は全く入っていないと聞いて驚きました。
甘酒は米麹がお米のデンプンを分解し糖化することで甘くなります。ブドウ糖のほかビタミン類やアミノ酸、食物繊維などが含まれ、栄養価が高く、栄養剤としての点滴と成分が似ていることから「飲む点滴」とも言われるそうです。現在は冬に暖かくして飲むイメージが強いのですが、江戸時代には夏バテ防止、暑気払いとして飲まれることが多く、甘酒は俳句では夏の季語にもなっています。江戸幕府は庶民の健康を守るため、誰でも飲めるように甘酒の価格制限をしていたそうです。
知り合いからいただいた甘酒があまりにもおいしかったので、自分でも作ってみることにしました。作り方はそれほど難しくありません。もち米でお粥を作り、そこに米麹を加えて、50度から60度の温度に保って8時間から12時間ほど発酵させるとできあがります。長時間保温するためには炊飯器の保温機能を使うと便利です。
うるち米でもできますが、もち米の方が甘みが増すと聞いて餅米を使っています。麹は酒蔵が無農薬、自然農法で育てたお米につく稲麹から麹菌を培養して作っている麹を使っています。白米の麹で作る甘酒もおいしいのですが、この酒蔵では独自の手法で発芽玄米に麹菌を植え付けたものを作っています。これを使って甘酒を造ると時間はかかりますが、玄米の香ばしさと深い甘さが特徴的な甘酒に仕上がります。
できあがった甘酒は、火を入れて発酵を止めるのですが、私は頑張って働いてくれた麹くんに熱い思いをさせるのは忍びないと思い、そのまま冷蔵庫で保存しています。できあがった甘酒はおいしいので、すぐに食べてしまうのですが、冷蔵庫に保存する時間が長くなると、玄米が更にやわらかくなって甘みが増すように思います。この甘酒がいろいろなことに使えるのです。