いじめや体罰など子どもが犠牲になる事件がたくさん起きています。多くの人が現状を憂い、このままではいけない、何とかしなくてはと思っているはずです。どうすれば良いのでしょうか。
今年1月教育再生実行会議の開催が閣議決定され、3月22日までに4回の会議が持たれています。2月26日には「いじめの問題等への対応について 」という第一次提言が出されました。提言には、道徳の教科化、いじめ対策の法制化、いじめに向き合う体制の構築、毅然とした指導、体罰禁止の徹底が謳われています。
これを読んだときに、私はどこかしっくりこない感じがしました。道徳を教科にするということは、子どもに道徳を「教える」ことを強化してゆこうということだと思います。道徳って教えるものなのでしょうか?
道徳には教科として教えられる部分というのもあるかもしれませんが、社会生活を送るための基本は、他の人との関係性をどう持ってゆくかということです。それは誰かに教えられてわかることではないように思います。例えわかったといっても、それは頭でわかっただけで、心で感じたり、魂に染みこむようなものとは違います。心や魂でわかるためには、赤ちゃんの時から主体的に環境に働きかけて活動することを保証され、適切に見守られながら育つこと。他の子どもと関わる機会をたくさん持っていることが大切なのだと思います。他の子どもとの関わりは楽しいことばかりではありません。ケンカを通して自分の想いだけを通すことはできないことを体験し、相手の想いを推し量ることなど様々な体験をすることで、自立と自律を学んでゆきます。これは体験を通して生活の中で学ぶことなのだと思うのです。だからこそ、0歳のときから他の子どもとわることが、大切になってくるのです。
自分の心からわき上がってくる思いが道徳の基本にあるように思えてなりません。