このあいだからの暖かさから打って変わって、朝から雪が真横に降っています。京都の予想最高気温は3度。この時期らしい寒さともいえます。換気のために開けておいた窓から雪が舞い込んで積もっていました。
「落ち着きのない遺伝子」があるのか?という問いに対しては、ドーパミンD4受容体遺伝子のDRD4-7Rという遺伝子が、好奇心や落ち着きのなさと関連しているとして取り上げられることがあるそうです。しかし、一つの遺伝子や遺伝子群だけで説明できるような単純なものではなく、異なる遺伝子群に由来する形質のなかに、探求に関する複数の性質が含まれているとするのが妥当なようです。
探求心といえば、子どもです。「人間には想像力を伸ばす重要な特徴がもう一つある。それは長い子ども時代だ。」と「落ち着きのない遺伝子」を書いたデビッド・ドブス氏は言います。
人間はチンパンジーやゴリラなどほかの霊長類と比べて離乳が早いことが知られています。離乳は早いのですが、離乳してもすぐに自分で食事を取ることはできず、離乳食を与えられることにはじまり、母親以外の様々な人にも守られ、安全で長い子ども期を過ごします。この長い子ども期は人類の特徴です。そしてこの長い子ども期にする一番大切なことといえば「遊び」です。
もちろん「遊び」はほかの動物にも見られます。それは狩りをするなど生きてゆく上で必要な技能の習得ということがあります。もちろん人間にも、様々な運動機能の獲得としての遊びがあります。しかし、それ以外に、赤ちゃんが「これなんだろう?」と近づき、手で触り口で確かめてみる。時には放り投げたりぶつけたりするような、未知のものへの探求心からはじまる遊びがあります。もう少し年齢が上がると、どうすれば積み木を高く積み上げることができるだろう?うまくセミを捕まえることができるだろう?という探求心に基づき、自分でいろいろと仮説を立てて試すような遊びを多くするようになります。
「こうした遊びを繰り返しながら、子どもは様々な状況や可能性に挑む探求者の資質を育んでゆく」「探求に適した脳が形成され、認知機能が培われるのは子ども時代なのだ。そうした蓄積があり、注意を払えば、大人になってからも新たな挑戦の可能性を見いだせる。」「そして、探求者は失敗を恐れず目の前の可能性に賭ける。」(ナショナルジオグラフィック2013年1月号70ページ)とあります。
子どもたちに冒険家になってほしいというのではありません。世界の不思議に驚き、様々なことを知りたい、やってみたいと挑戦してゆく探求心が最も育つ乳幼児期に育てるべきところをしっかりと育ててほしいだけです。ひとり一人が、好きな仲間と探求心を思う存分満たすことができるような環境を整えたいものです。全てを満たすことが無理だとしても、大人の都合で子どもたちの探求心をつぶしてしまうようなことだけは、してはならないと思います。