見えない存在である微生物について考える事が多くなると、そういう情報が飛び込んできます。というか、そんなことが目につくようになります。
ナショナルジオグラフィック2013年1月号の、「小さな小さな細菌の世界」という記事が目にとまりました。微生物学者ネイサン・ウルフ氏による記事です。
私たちが呼吸をすると、目に見えない数百万個の粒子が肺の中に入ってくるそうです。そして、その大半が細菌やウィルスなどの微生物です。その微生物のなかには、世界中を旅してきたものも含まれているといいます。
今、中国から漂ってくるPM2.5が問題になっていますが、様々な微生物も大気に乗って地球上を巡っているので、私たちは世界中の微生物を呼吸していることになります。大気に国境はありませんから・・・
微生物は、人間にとって有用な働きもしています。まず地球上の酸素の半分はシアノバクテリアという微生物がつくったそうで、植物が光合成をするようになったのも、このシアノバクテリアが関わっているそうです。
また、私たちの身体にも常在菌と呼ばれる微生物がたくさんいて、その数は人間の細胞数の10倍、重さは成人の平均で1,350グラムにもなるそうです。そして、それらが身体の各部分ごとに細菌叢(マイクロバイオーム)といわれる集合体を構成しているのです。皮膚、口の中、鼻の中、腸内など、それぞれの部分によって異なった細菌叢がある。だから「ヒトはひとつの生物であると同時に一つの生態系でもあるのだ」とウルフ氏は言っています。
私たちは「自分の身体」だと思っていても、多くの微生物と共に生きているのですね。