「対話のカタチ」2人目は、元外交官 東郷和彦さんです。東郷氏は外務省条約局長・欧亜局長・駐オランダ大使などを歴任し、現在は京都産業大学世界問題研究所長として活躍されています。
東郷氏は、外交の本質は「相手を理解する」ことであり、それは全ての人間関係の基本だと言っています。外交で一番重要なのは相手の立場も理解し、長期的に国益を考えてゆくこと。なのだそうです。同じ国の人間なら、関係性が悪化しても同じ価値観やルールのもと立て直しやすいが、外国人の場合は一度失敗すると立て直しが大変難しくなると言います。
同じ文化的基盤を持った日本人同士でも難しいことがあるのに、外国の方が相手となるとその難しさは想像もできません。ただ、ひとりの人間と人間との信頼関係が基本にあり、その上で交渉があるのだろうと感じます。その根本に「相手を理解する」ということが必要不可欠なのでしょう。しかし、「相手を理解することは思うほど易しくない」ともいいます。
確かに易しくはないし、そうとう努力する必要があると感じています。
「日本は主張すべきを主張していない」というのが最近の風潮ですが、こちらの考えを相手にガンガン言えばいい、それが外交だという考えは完全な間違いです。
とても反省させられることばです。外交のような大がかりなことではなくても、日常のコミュニケーションでさえ、ついつい自分の主張ばかりを一方的に押し付けようとしてしまいがちです。相手を理解するためには、自分の心を否定のバリアで囲わずに、相手を丸ごと受けとめることからはじめなければなりません。そこからがスタートのはずなのに・・・
日々のふり返りを大切にしながら、進んでゆくしかありません。