赤ちゃんにとっての触覚は大人にとっての触覚よりも、ずっと重要な意味があるようです。「触覚」といったときには、赤ちゃんが自分から何かに触ることと、誰かに触られるという2種類があります。どちらも皮膚で感じるので同じように思えるのですが、大きなちがいがあります。赤ちゃんが自らさわるためには「動く」ことが必要です。能動的に運動し触覚を使っていると言えます。それに比べて触られるのは赤ちゃんが動かなくても外からやってきます。受動的な感覚入力です。
赤ちゃんはお母さんや養育者との相互作用の中で発達してゆくといわれています。赤ちゃんの姿はかわいらしくて、大人はついつい声をかけたりあやしたりしたりしたくなります。大人はあやしてあげていると思いがちですが、実はかわいらしい姿を見ているとあやしたくなるのです。赤ちゃんはかわいらしい姿をもって、大人のあやすという行動を引き出しているのです。触るということも、赤ちゃんが触って、お母さんが触り返すということが愛着形成の基本形なのだそうです。赤ちゃんが触ったときに、タイミング良くお母さんが触り返してくれることが大切。あくまでも赤ちゃんが主体なのですね。
そうして、赤ちゃんが発達して動きの種類が増えてきたときに、様々な動きを経験できる方が良いそうです。様々な動きをしようと思えば、様々な環境が必要になってきます。多様な環境があるからこそ多様な運動パターンを経験することができるのです。発達しょうがいといわれる子どもたちには運動パターンが少ない傾向の子がいるので、運動パターンを多様化することが療育につながるのだそうです。
多様な環境があり、多様な環境に応じて赤ちゃんがかかわってゆくことを研究室で調べるのは難しいと小西先生はおっしゃっていました。それができるのは、保育現場なのかもしれません。
日本赤ちゃん学会理事長 小西行郎 先生から、赤ちゃんにとっての触ることについてのお話しを聞いて思ったことを少し書かせていただきました。私の理解不足のため不正確な部分もあるかもしれません。お許しください。