カシノナガキクイムシ(以下カシナガと略します)が、幼虫のために木の中でナラ菌を栽培しているなんて、どこか不思議な気がします。しかし、関心ばかりはしていられません。木がどんどん枯れてしまうのです。防除策はいろいろ考えられているようですが、決め手になるものはないようです。
1. カシナガが穴をあける前の木には、幹にビニールを巻いたり、薬剤を塗ってカシナガが入らないようにする。
2. 幹の中に殺菌剤を注入し、ナラ菌の増殖を抑える
3. カシナガが孵化する前に木を伐採し、中にいるカシナガが出てこないように殺虫剤ででくん蒸して、ビニールフィルムで密封する。
4. 早い時期にカシナガのあけた穴を爪楊枝などで塞いで、出てこられないようにする。
私の聞いた限りではこのくらいです。
1. のビニールを巻いたり、薬剤を塗布する作戦はすべての木に施すことは不可能ですし、現実的ではない。
2. 3. の殺菌殺虫剤作戦は、薬剤の成分が土壌や他の生物に与える影響がわからない。
ということで行いませんでした。
唯一試してみたのが、4. の爪楊枝作戦でした。それも爪楊枝をあらかじめ木酢に浸しておいてから使いました。この方法もすべての穴を塞ぐことができるわけではありませんし、ビニール同様すべてのナラやカシに行うことはできません。でも実験的に試すのなら爪楊枝作戦ということで、爪楊枝で穴を塞ぐことのできる範囲には実際にやってみました。いざやってみるととてもたくさんの穴があるので大変ですし、高いところなどは届きません。できる限り爪楊枝を差し込んでいったら、幹から爪楊枝がたくさん突き出たハリネズミのような異様な姿になってしまい、参拝者から「何かのおまじないですか?」としばしば訪ねられました。
そんな苦労をして爪楊枝作戦を実行したのですが、大きな変化もなく、冬を迎えました。