鞍馬周辺の山林では昨年に引き続き今年もナラ枯れが広がっています。
ナラ枯れは、ナラやカシの木の葉が急に茶色になって枯れてしまうのです。紅葉が始まったのかと間違えるくらいです。昨年あたりから鞍馬でもこのナラ枯れが増え始め、たくさんの被害が出ました。樹齢何百年もありそうなカシの木が枯れてしまった例もあり、今年もたくさんの木が枯れかかっています。
ナラ枯れの被害に遭っている木は、葉が枯れる前でも近くに行くとすぐにわかります。木の根元に、のこぎりで木を切ったときに出るような木くずがたくさん落ちているからです。
ナラ枯れは、体長5ミリメートルほどのカシノナガキクイムシという甲虫が引き起こすことがわかっています。カシノナガキクイムシが木の幹に穴を開けて侵入し、幹の中に縦横無尽に穴を掘ります。以前はそれが直接原因だと考えられていたのですが、直接の原因はカシノナガキクイムシが運ぶナラ菌が幹の中で増殖して、木が根から水を吸い上げることができなくなることだそうです。
まず、カシノナガキクイムシの雄が幹に穴を掘り、集合フェロモンという物質を出して雌を呼びます。雌が穴の中に卵を産み付けると同時に、背中に乗せて運んできたナラ菌を穴の中に植え付けます。これは卵から孵化した幼虫の餌にするためです。そうすると、ナラ菌が幹の中で繁殖して水の通り道を塞いでしまい、木が枯れてしまうというものです。
木が枯れてしまうのは大変困ったことですが、この虫の生態を知ったときには「なんとうまい仕組みを考えるのだろう」と感心してしまいました。