絵を描いたり何かを作ることに少しだけ苦手意識がある子が、苦手意識や、やりたいけどうまくできないからやらないといった葛藤を越えて、「やってみたらできた!」「けっこうおもしろいかも!」を体験してくれた場面に巡り会えて、とても嬉しく思っています。
発達とは、「できないけれども、できるようになりたい」といった「〜だけれども〜」を越えることだと言う意味の話しを聞いたことがあります。
それを乗り越えることができるのはその子自身だけです。しかし、いつも側で見守り、勇気づけてくれる人が、いるといないでは大きな違いです。子どもにとっては、それがお父さんお母さんや保育者など、信頼できる人です。
ですから、親や保育者が、逐一命令して何かをやらせたり、一から十まで教えてあげていては、その子は自分自身で乗り越えることを経験できなくなります。
それよりも、その子を丸ごと信じて、「大丈夫!挑戦しておいで!困ったときはいつでも守ってあげるから!」と安心させ、勇気づけてあげることが必要なのだと思います。これが見守るということなのではないでしょうか。
よく、保育者は子どもの心の安心基地であるべきだと言われますが、そういうことなのだと思います。安心基地がぐらぐらして不安定では、子どもは自分の力を発揮して自分で挑戦することができません。
製作活動に苦手意識を持っていた子が「もうやめる」と訴えかけていたのは、一つのサインです。「作りたいけど、作れないから助けて!」というサインかもしれません。それなのに、何でも子どもの言うとおりにしてあげることだけが良いと思っていると、「やりたくないならやらなくて良いよ。」などと軽率に答えてしまいがちです。しかしそれでは、子どもの「助けて」という心の声に応えていることにはなりませんし、逆に子どもを失望させてしまいます。これでは放任になってしまいます。ですから、そのこのことを良く理解して「今この子に何が必要なのか」を考えなくてはならないのです。
こーちゃんにサインを受けとめてもらって、勇気づけてられた子は、その後いきいきと自分の「どるぶつ」作りに励み、立派などるぶつを作り上げました。
子どもをちゃんと見守ってくれたこーちゃん(浦中 こういち さん)に感謝です。