待機児童対策ということが盛んに言われ、新しく保育園が作られたり、既存の保育園が増築されたり、定員が弾力化されています。しかし、待機児童対策として一人でも多くの子どもが保育園に入れるように努力しても、またすぐに待機児が増えてしまうということが起こっているようです。
当園でもここ数年、定員を少し超えて子どもたちを受け入れています。当園の園児のほとんどが4㎞以上離れたところから、電車や自家用車の送迎で通ってきています。毎日のことなので保護者の皆様は大変だろうと思いますが、こんな山奥まで通っていただき感謝しています。
少子化といわれているのにどうして待機児童が増えるのでしょう。様々な原因があると思います。もちろん両親の就労ということが一番大きな原因でしょうが、あるお母さんから「私も仕事をしたいし、子どもも家にいても一緒に遊ぶ友達もいないので…」ということばを聞いたことがあります。これも子どもを保育園に行かせたい理由の一つではないでしょうか。地域で子どもが集団を作って遊ぶことができなくなってきていて、保護者はそれを不自然に感じていらっしゃるのかもしれません。
少子化対策が語られる中で、違和感を覚えることがあります。子どもをまるで荷物か何かのように預けるというニュアンスを感じてしまうことがあるからです。保育園の役割はただ子どもを預かるだけではありません。子どもをしっかりと育てることです。その意味で、子どもの集団があるということはとても重要なことです。
しかし、ただ単に子どもがたくさんいるだけでは意味がありません。そこで、子どもがお互いに意見を交換し、力を合わせて共に何かに取り組むという子どもどうしの関係と、その関係を通して子どもが主体的に遊びや生活を創造してゆくことができる環境が必要なのです。
だからこそ、私たち保育者は様々なことが、できるだけ子どもの中で、子どもどうしの関係で創造したり解決できるようにする。子どもが自ら遊びや生活を作ってゆける。そういう環境を整えることに力を注ぎたいと考えています。
子どもたちが大人になったときに、自ら進んで人と意見を交換し合い、共に力を合わせて、みんなが幸せになれる社会を築いてほしいと願うからです。