園長ブログ

こころ 3

2012/10/18

still face experiment(無表情実験)では、それまで表情豊かにほほえみ合って遊んでくれていたお母さんが、無表情になったとたんに赤ちゃんは、全力を尽くしてといっても良いくらい、いろいろな方法を使ってお母さんの表情を引き出そうとします。コミュニケーションをとろうとします。実験に参加していたのは1歳くらいの赤ちゃんで、まだことばを使うことはできませんが、ことば以外を使ってコミュニケーションをとろうとしています。一方的にではなく、相互に作用し合うことを望んでいるのです。積極的に外界とつながりたいと思っているのです。この実験は、YouTubeでstill face experimentと検索すると動画を見ることができます。

同じ実験を、人間と、人間とそっくりに作られたアンドロイドで行って比較して行ったところ、相手がアンドロイドの場合、無表情になったときに、表情を取り戻させようとする赤ちゃんの行動は、相手が人間のときほどには高まらなかった。と京都大学文学研究科心理学研究室の板倉昭二教授はおっしゃっていました。赤ちゃんには人間とアンドロイドの違いがちゃんとわかっているのです。

赤ちゃんは、相手が自分の働きかけに対して反応し、コミュニケーションを取ってくれる相手か否かを、表情から見極めています。また、相手の表情を読むことで、相手の心を読む、文脈を理解するなど状況を読むことにつながるのです。

そのためには、相手の表情はとても重要な情報源です。表情を読み取るためには、顔に注意を向けている必要があります。生後すぐから顔のような模様を好んで見るそうです。生後4日でも、知らない人よりお母さんの顔を好んで見るという例もあるそうです。

視線を記録することができる装置を使って、アニメを見ているときにどこを見ているのかを調べると、やはり顔をよく見るそうです。特に9ヶ月以降になると、特に顔に注目するそうです。相手の顔を見て表情を見て、相手が何を思っているのだろう?ということを考えているのです。ことばを獲得する以前にです。

社会を作って生きるという生き残り戦略を選択した人間に、生まれたときから備わっている人と関わるための能力なのだと思います。

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