高校時代の友人が訪ねてきてくれて、文化の話になり、それぞれの国や地域にしかない文化を継承し発展させてゆくことが大切だという思いを強くしました。
友人はフランスで美術の勉強をしていた時期が長いそうで、ご主人もフランスの方です。
フランスの文化と言えば、芸術が一番に思い浮かびますが、私は食文化ということが気になりました。友人夫婦はフランス料理という、食に関わるお仕事をされているので、フランスでの食文化について尋ねてみました。
友人のご主人によると、この20年でフランスの食はずいぶんと変わったそうです。具体的に挙げておられたのが、若い世代を中心に食事中にコーラなどの甘い飲料を良く飲むようになったということです。食事中に甘い飲み物を飲むと食べ物の味が台無しになるように思います。
フランスといえば、昼食でもワインを飲みながら食事をするというイメージがあったので、ワインは飲まないのですか?と尋ねたら、以前は大学のカフェテリアでもランチの時間にワインが出されていたし、みんな飲んでいたが今ではコーラなどにとって代わられているとおっしゃっていました。ワインを飲まなくてはならないというわけではありませんが、そんなところにも嗜好の変化が現れているのかもしれません。
その他ファーストフード店の進出に加え、共働きの夫婦が増えて家庭で料理を作る機会が以前より減ったことも食文化を変化させる要因ではないかとのことでした。子どもの味覚も変わってきているのではないでしょうか。
そんな話を聞いて、フランスでも食育政策がとられているはずだと思って調べてみたら、在日フランス大使館のホームページに「フランスの食育政策」というページがあり、そこには「フランスの学校では、幅広い種類の食品を摂取する必要性を説明し、味を発見する機会を増やしながら、栄養と味覚に関する知識と認識を高めるべく、子どもたちに教育を施している。」とあります。食育が進められているのです。
その文書によると1990年代から肥満が急増すると同時に肥満の低年齢化が進んでいて、肥満児の割合は1980年の5%から16%に増加したとされています。とくに恵まれない層ではその傾向が顕著で、恵まれない層の子どもの25パーセントが肥満だそうです。
友人のご主人は甘い飲み物や、ファーストフードをたくさん取るようになって、肥満が増えたのだと分析していらっしゃいました。
どこの国でも、食の営みが危機に瀕しているようです。