栗をひろいに行って、遊びがいろいろと広がりました。
それにしても、やりたい!と思って取り組んでいる時の子どもたちの集中力と、吸収力というか、伸びる力というかはすごいものです。栗のイガをむくことだって、最初は、「先生できひん!」と言っていた子が、何度か挑戦してできるようになると、どんどんむいてゆきます。両足でイガを開くように踏むとイガがぱかっと割れて、中から大きな実が出てくるのが楽しくなるのだと思います。
午前中にとりきれなかった、枝の先で大きくなった栗の実が見えているイガがいくつもあったので、おやつが終わったあとにもう一度取りに行きました。朝より長めの棒を持って園庭を歩いていると何人かの子どもが「どこいくの?」「なにするの?」と聞くので、「もう少し栗を取りに行くんだよ」というと、3歳児の男の子と4歳児の女の子の2人が、一緒に行くと言ってついてきました。そして、私が落としたイガをむいて栗を取り出してくれます。最初はぎこちなかったものの、大きな栗が出てくるたびに「大当たりー」などと言いながら楽しんでやっていると次から次へとむいてくれました。どうしても難しいのは園に持って帰って、私がむくことにしたのですが、2人でかなりの数をむいてくれたので、終わる頃には2人とも栗むき名人です。
園庭にもどって、私がイガを外している間も手伝ってくれました。ほかの子どもたちも、興味を持ってやってみますが、楽しみながらたくさんむいた2人にはかないません。「2人は栗むき名人になったからねー」というと得意そうにしていました。
子どもが自分から「やりたい!」「おもしろい!」と思って取り組むことは、すぐに上手になります。今、園庭ではなわとびが流行っていて毎日のようになわとびをしている子が何人かいます。「とべるようになったし、見て!」というので見ていたら、まだまだぎこちない感じながら一生懸命です。「いっしょうけんめい練習したんだね」というと「うん」とうなずいて、またとび始めました。
次の日、また「見て」というので、見ていたら昨日よりは格段にスムーズになっています。「昨日より、ずっと上手にとべるようになったね。」というと、うなずいてまたもくもくととび始めました。1時間くらいしてまだ頑張っているようだったので、見てみると、さっきよりずっと上手くとべるようになっているではありませんか。1時間でこんなに上達するの?と思ったくらいです。きっとその子は、私に「見て」という前から、とべるようになりたい一心でずっと練習していたのだと思います。だからこそ、ぐっと伸びる瞬間があるのでしょう。
子どもが、心から「やりたい!」と思ったことには本当に集中して納得がいくまで取り組めるものなのです。そして集中して取り組むことができる対象は、それぞれ違うのです。ですから、様々なことに取り組むことができる環境を用意することが必要なのだと思います。というものの、何人かが楽しそうにやっていることは、やってみたいと思う子が多いのか、楽しさが伝染して、挑戦する子が増えることが多いものです。今、当園の園庭では、それがなわとびなのです。
この子どもの持っている力が存分に発揮されるように、何をすれば良いのか?保育者はじっくりと考える必要があります。「次は何か?」目の前の子どもの姿から考えることを忘れないようにしたいと思います。