園長ブログ

ことば

2012/09/24

前にもこのブログで、ことばについて少し触れたことがありました。以前、外国語に接する機会があったことから「ことばとはなんだろう」という疑問を持っていたのです。

最近、ことばに関する講義を聞く機会がありました。しかも、言語獲得や言語発達についてです。講師は帝塚山大学教授 小椋たみ子先生です。

言語(ことば)は人間だけが獲得できる進化の過程での最高の産物であり、その役割は、コミュニケーションの手段、思考の主要な手段や様式、自己のの行為や活動の調整、自己表現の手段、自我の形成に関わるということがあげられていました。

この中で特に興味を持ったのが、自我の形成にことばが深く関わっているというとです。もちろん、思考の手段や様式という側面を持っているのですから、自我の形成と関係があることは想像できそうですが、バイリンガルの人は、どちらかの言語が優勢でないと自我が不安定になるとのことでした。ことばは精神的な発達にとって大切だということが再確認できました。

また、言語獲得についての説明の中では、言語学者チョムスキーの言語獲得モデルをあげて、人はもともと生得的に持っている能力である言語獲得装置によって言語を獲得している。つまり、すべての言語に共通した基礎体系である言語獲得装置というものをあたかも身体の中のひとつの器官のように私たちがもっていて、そこに、大人の会話などのことばによる刺激が入ってくることによって、すべての言語の基本となるような「普遍文法」が聞こえてくることばを分析、規則化、体系化して、日本語、英語などその社会に固有の言語を獲得してゆくという説が紹介されました。

それに対して、心理学の立場からは、人にプログラムされた生得能力が育ってゆくうえで大切なのは「教育的な働きかけ」という環境だと主張がされているそうです。

言語獲得装置が、聞こえてくることばから、生理的な能力として言語を獲得してゆくという立場と、発達をしてゆく能力に、教育的な働きかけという環境が加わってはじめて言語が獲得されるという立場があるということを知りました。

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