皆さんは、あかちゃんは何ヶ月から動き始めるか知っていますか?
今年初めに開催された京都市保育士会の研修で講師の先生の最初のことばです。講師は小西行郎氏(日本赤ちゃん学会理事長)です。
正直言ってその質問には???でした。生まれてきたときにはもう動いてる・・・。そう思っていたのです。
「胎児のことですよ。」と言われ、ハッ!としました。「子どもを知るなら胎児のことから知るべきですよ。」先生の声がひびきます。
胎児が動く、いわゆる胎動の始まりは7〜8週頃からだそうです。身体全体を動かす運動から始まり、20週頃までにはほとんどの運動パターンを経験します。それは、あかちゃんが生まれ出たときの準備を自分でしているのだそうです。
いままで胎児は母親に付属するように考えられていました。しかし、最近はあかちゃんの研究が進み、胎児は生まれ出てから生きてゆくための戦略をしっかりと持っていて、その準備のためにお母さんのおなかの中で様々な行動をしていることがわかってきているそうです。そしてこの胎児期からの運動発達を受け継ぎ、新生児も自ら動き、五感を使って周囲との相互作用の中で自ら学習し、発達しているのです。また、生まれたてのあかちゃんも脳の前頭葉を使っていることがわかってきており、これはあかちゃんが自分で考えていることを意味するそうです。
胎児でもそうなのだから、あかちゃんの「自分でやってみる」ということを大切にしてあげてほしい。と講師の先生はおっしゃっていました。
当園では、子どもが主体的に活動することを大切にしています。それは、子どものすることにはすべて意味があり、子どもは自ら発達するために動いていると考えているからです。
冒頭で私がハッ!としたのは、胎児や新生児のことまでは考えていなかったからです。「あかちゃんが自分でやってみるということを大切に!」というくらいですから、当園に在籍している年齢の子どもなら、なおさら「自分でやってみることを大切に!」ではないですか!
あかちゃんは自ら動く、触る、見る、聞くことによって自ら成長している。だから大人はできるだけ邪魔をしないことが大切なのです。
今の保育士にできないこと、それは「動くな!黙って見ていろ!」だそうです。インパクトの強いことばですが、肝に銘じておきたい言葉です。
「しゃべらず(しゃべりすぎず)動かず(動きすぎず)目でとらえる保育士が必要」と先生はおっしゃっていました。まさに私たちが目指している「見守る」ということと同じだと思うのです。