園長ブログ

赤ちゃん学 ~ヒトとは~

2012/09/05

赤ちゃん学は、様々な分野の研究成果から、より深く赤ちゃんを知ることによって、今までの子ども観を見直し、新たな子ども観を構築しようという試みですが、それは、ヒトはどこから始まるのか?というヒトの出発点を明らかにすることによって、ヒトとは何かを考える学問でもあるそうです。

そもそも、どうしてこの地球上にヒトは発生し、人類はこの地球上にこんなにたくさん生きているのでしょうか。現在地球上に生きている人類はホモサピエンスですが、どうしてホモサピエンスだけが生き残るとができたのでしょうか。また、ヒトの存在は宇宙全体にとってどんな意味があるのでしょうか。ヒトって、人間って何でしょう?そんなところから保育を考える必要があると思います。

ヒトの大きな特徴の一つが二足歩行です。ヒトは他の動物に比べて、寿命に対する子宮内での生活時間が短い、つまり未熟な状態で生まれてきます。それは、二足歩行によって、骨盤が狭くなり子宮が小さくなったことで、子どもが十分に成熟できないまま生まれてくるからです。未熟な状態なので自立できず、誰かに守ってもらわないと生きてゆくことができないのです。ヒト以外の動物がそんな状態で生まれてこようものなら、野生の中であっという間に襲われてしまいそうです。なぜヒトだけが未熟な状態で生まれてくるのでしょうか。

それはヒトが生き残り戦略として弱くなることを選択し、最も弱い赤ちゃんを集団の真ん中において、安全な社会を形成してきたからだといわれています。つまりヒトは一人ではとても弱い存在です。鋭い爪や牙、分厚い皮も持っていませんし、早く走ることも、木に登ることもそんなにうまいわけではありません。しかし、集団で行動し役割を分担し力を合わせることで、社会として集団として強くなりました。そして赤ちゃんや高齢者など、弱い人をその集団の真ん中に置いて守ってきたのです。

健全な社会を形成できる力がつくように子どもたちを育てる。それが、ヒトがヒトとして生きてきた筋道にかなうのではないでしょうか。ヒトとヒトがその関係をうまく作り、人と人の間の関係を築くことが、人間として生きてゆくことなのです。

そうした観点から保育を考えた時にどんな保育が必要になってくるのでしょうか。よくよく考える必要がありそうです。

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