園長ブログ

自然から学ぶ 〜見守る2〜

2012/09/01

畑の作物は育つ環境さえ整えておけば、自分の力でしっかりと育つことができます。そのための最適な環境は、他の様々な植物や昆虫も一緒に生活している自然に近い環境です。もちろん、そこで育つ作物は、大きくて形も味も良い人間にとって都合の良いものではありません。小さいし、味にも多少クセがあります。まだトウモロコシしか食べていませんが、甘いだけではない多少渋みやクセのある濃い味でした。自然に育つからでしょう。

そうやって環境さえ整えてあげれば、人間がそれほど手を出さなくてもちゃんと育つのに、畑を見にいくとつい何かをしたくなります。なぜでしょう?

そう思うと作物を育てるのは、子どもを育てるのと似ています。もちろん人間の子どもは植物ではありませんが、適切な環境さえ用意してあげれば、自分で育ってゆく力を持っているはずです。

それは赤ちゃんからそうだと思います。もちろんその時々で適切な環境は異なります。赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる時から、触覚などを通して自分と他者を知り、自分を取り巻く環境に自ら働きかけて発達しています。

もちろん生まれてからもその時々に応じて、必要な環境を選んで自ら関わることで、発達してゆくのです。

その環境の中でも大切なのは、安心基地としての大人の存在という環境ではないでしょうか。赤ちゃんの時であれば、無防備な赤ちゃんをしっかりと守り、授乳をしたりお世話をする、母親に代表される大人の存在でしょう。少し大きくなると、他の大人の存在も大切になってきます。父親であったり、他の家族であったり、保育者であったりします。

もっと大きくなっても、心の安心基地としての誰かの存在は必要なのではないでしょうか。それは、たとえ大人になっても話を聞いてくれたり励ましてくれる存在としての誰かが必要だと思います。

特に子どもの時は安心基地としての大人の存在が必要です。安心基地は決して、ああしろ!こうしろ!とうるさく言いませんし、必要以上の手出しをすることはありません。安心基地が自分の思う通りに子どもを動かそうとしたら、安心基地ではなくなってしまいます。

どんどん外へ出て行こうとする子どもが不安になって振り返った時に、しっかりと見守ってもらっていることを感じられると、不安が安心に変わってまた外へ向かって挑戦できるのです。

保育者は子どもにとってそういう存在であるべきだと思います。決して何かを教え込むのではなく、まして、自分の思うとおりにさせようとするのではありません。この子にとって今本当に必要なことや環境はなにかを深く考え、そのための環境を用意することが必要なのではないでしょうか。

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