楽器ゾーンに提示された楽譜をきっかけに、子どもたちが、自ら曲を演奏しようと取り組み始め、何度も練習しているうちに少しずつ、というより急激に曲らしくなってきたのでした。
一つの曲が形になってくると、最初に興味を持って取り組み始めた子どもたちは、ずいぶん上達しているものです。そこに、後からおもしろそうだと思って加わった子どもたちに最初から取り組んで上手になった子どもたちが教えていました。子どもどうしで学び合う姿、教え合う姿がそこにはありました。
そんな子どもの姿を見ていて、「正統的周辺参加」ということばをどこかで聞いたのを思い出しました。インターネットで調べてみたら、「正統的周辺参加」についてはいろいろと記述されていました。その一つを引用してみると次のようにありました。
以下、引用させていただきます。
ISディジタル辞典−重要用語の基礎知識−
正統的周辺参加論
セイトウテキシュウヘンサンカロン
Theory on legitimate peripheral participation
定義
カリフォルニア大学バークレー校の教育学教授ジーン・レイヴとパロ・アルト学習研究所研究員エティエンヌ・ウェンガー1)によって知られた教育理論。
説明
正統的周辺参加では,「学習」を「知識の伝搬」とは見なさない。学習者は,否応なく実践者の共同体に参加するものであり,また,知識や技能の習得には,新参者が共同体の社会文化的実践の十全的参加へと移行してゆくことが必須であるとする。「周辺参加」とは,最初は周辺的な分担であった新参者が,学習の進展とともに,徐々に中核部を担当することを言う。正統的周辺参加では,「学習」の意味を,従前の「知識の伝搬」と捉える視点から,「社会的な活動の中において,役割を果たせること」とパラダイムシフトさせた。結果として,「学習」と「教育」は分離される。
正統的周辺参加では,古参者(ファシリテータ)は必須である。しかし,古参者が「知識」を小出しにすれば学習できるというものではない。教師が本物の世界を見せて,その実践の場への参加の軌道を作り上げて,かつ,新参者が,自らの意志をもって自らを変えてゆくべく参加して初めて「共同参画者」となる。古参者と学習者は,相互に影響を与え合って社会を構成する。その中で,「学習」は学習者自身の営みであって,本人が学ぶという営みをどういう「コト」(実践)としているかが学習を左右する。
文献
1.Lave, J. and Wenger, E.: Situated Learning : Legitimate Peripheral Participation, Cambridge University Press (1991).
最終更新日
編集委員会編 (2012.04.01.)
金田重郎
2012 一般社団法人情報処理学会,情報システムと社会環境研究会編
http://ipsj-is.jp/isdic/1403/