ヒナコウモリについて、『京都府レッドデータブック』(京都府のホームページ)からもう少し引用してみようと思います。
生態的特性
夕方に隠れ家から飛び出して、飛翔する昆虫類を採餌する。昆虫類が飛ばない冬期には冬眠するものと思われるが、どこで冬眠するか不明である。初夏にコウモリ類では珍しく1回に2子を出産する。本種は本来は樹洞を昼間の隠れ家にしていたと思われているが、樹洞が消失している地域では家屋でも繁殖するのが知られる。
生息地の現状
滋賀県と京都府の境にある比叡山本堂に200~300頭の出産・育児集団が毎年形成されるのが知られるのみであったが、2001年3月には京都市鞍馬寺で14頭の冬眠している本種が発見された。これら両寺の間で群れ間の移動があるのかどうかは目下不明である。ちなみに、鞍馬寺の1頭は青森県で出生した個体だという。すなわち、青森では繁殖集団が知られるのみであり、比叡山も繁殖集団、一方鞍馬寺は冬眠集団であり、それらの間の移動に関しては今後の問題であり、まだ不明のことばかりである。いずれにしても、本種は本来樹洞をねぐらにするコウモリであり、家屋で繁殖すること自体が生息の危機的状態にあるということである。ちなみに京都府からは、隠れ家として利用する樹洞はまだ発見されていない。
とあります。
コウモリの研究を行っていらっしゃった、故 向山満氏(2012年11月にコウモリの調査中に秋田県の山中で滑落により亡くなられました)がよく青森から調査にいらしていました。向山氏の調査でわかったことだったと記憶していますが、コウモリには調査のために鳥に着ける足輪のようなリング(標識)を前腕につけることがあります。青森でリングを着けられたか、記録されたコウモリが鞍馬で見つかったという話を聞きました。そんなに遠くから移動してくるのだろうかと驚いたのを簿えています。
冬眠中のコウモリは、リングがついている個体もあればついていない個体もいるようです。年によって、リングが着いているのがたくさんいる年やほとんどの個体がリングを着けていない年などいろいろで、どうなっているのかわからない。まさに「まだ不明のことばかり」のようです。
コウモリを捕獲するには、調査のためであっても許可が必要なので、勝手に触ることはできないので、注意が必要です。