先日、仕事が終わって園を出たら、すっかり暗くなっていました。日がずいぶん短くなったものです。それもそのはず、立冬のも終わりに近くなり、もうすぐ小雪です。
今年は秋になっても暖かい日が長く続いたので、季節が進んでいる感じがしませんでしたが、カレンダーは11月も下旬となってしまいました。このところ急に冷え込んできて、最低気温は5度を下回ることもあり、突然冬がやってきたようです。
朝晩の冷え込みが厳しくなって、日中との温度差が大きくなり、木々が美しく色づき始めました。桜の葉も今年はきれいな色になり、散歩に出た子どもたちが拾っていました。もちろん、もみじもとても美しくなっています。ピークを過ぎた木もありますが、全体的には今が一番美しいのではないでしょうか。紅葉の美しさを求めていらっしゃる人たちで、鞍馬は賑やかです。
暗くなった道を歩いていると、山の稜線から大きなお月さまが昇ったところでした。とても美しい満月だったので、しばらく立ち止まって見ていました。月を見ているうちに、十五夜、十三夜のことを思い出しました。前にも書きましたが、十五夜は旧暦の8月15日の「中秋の名月」、十三夜は旧暦の9月13日の月で「後の月」とも呼びます。そして、旧暦の10月10日(今年は11月12日)は十日夜(とおかんや)といって、この夜に月を見てその年の収獲の終わりとされたそうで「三の月」ともよぶそうです。田んぼの神様が山へ帰る日として、その年の収穫に感謝する行事を行う地方もあるそうです。旧暦は太陽太陰暦なので、今よりも月が生活に密接に関わっていたのだと思います。
田の神様が山へ帰る日を「亥の子」といって亥の月(旧暦10月)の最初の亥の日(今年は、旧暦10月3日、新暦では11月5日)亥の子餅を作って食べ、万病除去・子孫繁栄を祈るといった行事を行うところもあるそうです。もともと中国の風習だったのが日本に伝わり、宮中で行われていた行事だそうです。そういえば、茶道の炉開きの時にはお菓子の代わりにおぜんざいを頂くのですが、亥の子餅も使います。
昔から日本人は自然の移り変わりに寄り添って生活してきました。ある意味そうせざるを得なかったのかもしれません。今はそういった意識が少なくなってきているかもしれません。自分の周りの自然の変化に心を運び、伝統的な行事についても考えてみたいと思います。