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2013/06/08
2013/06/08
2013/06/07
唐招提寺で修された鑑真和上一二五〇年御諱において、鑑真和上座像 平成のお身代わり像の開眼法要に巡り会うご縁をいただきました。長い法要でしたが、開眼の儀では結縁縷という綱を通じて全参列者が開眼に結縁したり、舞楽が舞われたり、散華という声明にあわせて、たくさんの散華(紙で作った花びら)が頭上から舞い降りてくるなど、華やかでなおかつ厳かな心に響く法要でした。
修理を終えて5月末に落成式が行われた開山堂にお身代わり像は奉安され、今までは、年に数日しか拝むことができなかった国宝像に代わって、いつでも拝むことができるようになるそうです。
「平成のお身代わり像造立記録」(制作NHKプラネット近畿総支社 企画律宗総本山唐招提寺)というDVDにお身代わり像の造立過程が記録されています。
このお身代わり像は本物と同じ脱活乾漆技法で、製作されています。製作に当たったのは、岡倉天心が明治31年に創設した「日本美術院」の国宝修理部門を起源とする公益財団法人日本美術院国宝修理所。模造の製作は、形を写すだけではなく、材料構造技法などを解明しながら、本物を造立した仏師の精神に近づくことを目指して来ました。
そのために、国宝像を詳しく調査する中で、漆の層が薄くて軽いこと、絵の具の上から油を塗布する手法が用いられたことなど新しい発見がいくつかあったそうです。精緻に調べ上げてから丁寧に制作し、検討を加えてまた制作するという、気が遠くなりそうな手間と、情熱が注ぎ込まれているのだと感じました。
行程は、芯木を組み立てて、その上に塑土を盛って、お姿を整形してゆく。そして、その上に麻布を漆で張り込んでゆく。乾燥したら、背中部分を切り取って中の土をとり出す。そして最後は彩色です。こうして作られるのかと思いました。
お身代わり像の造立する過程で、国宝像について様々なことがわかった。その一つが本物のお像には作為が全く見られないことなのだそうです。その自然さが、人々の心を打つのかもしれません。
2013/06/06
日本に仏教の戒律を伝えた高僧、鑑真和上(688-763)は教科書にも取り上げられていて、ほとんどの人が知っていると思います。特に、11年にわたって渡航に挑戦しては失敗し、ようやく6回目で日本にたどり着かれたことはあまりにも有名です。そして、鑑真和上は東大寺での授戒に力を尽くした後、唐招提寺を創建されたこともよく知られています。
今年は、鑑真和上が遷化されてから1,250年にあたり、唐招提寺では、鑑真和上一二五〇年御諱が厳修されています。この1250年の記念事業として、国宝鑑真和上座像のお身代わり像を本像と同じ脱活乾漆技法で製作され、先日、開眼法要が営まれました。
開眼法要の行われた6月5日はとても良いお天気で、気温もずいぶん高くなりました。雅楽の調べが流れる中、僧侶と共に輿に乗ったお身代わり像が開眼法要の会場である講堂に運ばれ、石田智圓 唐招提寺長老が、大きな筆でお像の目をなぞるようにして開眼の儀が行われました。開眼の儀に用いられた大きな筆には、結縁縷と呼ばれる綱が繋がっていて、約1,000人の参列者全員がその綱を握ることで、一緒に開眼に参加しました。動作としてはただ綱を握っているだけなのですが、心はお身代わり像に繋がっている気がしました。
まぶしい光の中、五色の幕が風になびき、ときおり風が運んでくるお香の香りに包まれて、読経の声や舞楽の調べを聞いていると、心がとても落ち着き、なぜか天平の時代にタイムスリップしたような気持ちになりました。すばらしい機会に結縁できてとても嬉しく思いました。
2013/06/06
2013/06/05
リズム遊びに焦点を当てることで子ども同士の関わり、特に3歳未満の子どもの関わりを、保育現場の視点から調査研究した、日本赤ちゃん学会第13回学術集会ラウンドテーブル1「保育所における乳幼児の関わり ―リズム遊びに焦点を置いて―」最後の発表は、新宿せいが保育園さんでした。
発表された保育士さんは、先ずリズムとは?という視点で考えて、音楽のリズム・ことばのリズム・生活のリズム・生体のリズム(呼吸)・四季のリズムがある。また、話し手、聞き手、呼吸や心拍といったコミュニケーションのリズムというのもあると分析されていました。
これを聞いて、「リズム」と聞くとすぐに音楽や、リズム遊びしか思いつかない固定概念に縛られている自分自身がいることに気付きました。やはり、根源や本質に立ち返って考える必要があります。
10カ月の子どもを真似する5カ月の子の例、目が合うとリズムが合う、リズムが合うと合わせることが楽しくなる子どもたちの様子から、リズムはことばを獲得する前の赤ちゃんの非言語コミュニケーションだともおっしゃっていました。
印象深かった動画は、「まんまんま・・・」と声を出す赤ちゃんに、先生が「まんまんま・・・」同じような音声で働きかけてみたら、赤ちゃんが笑顔になって更に声を重ねてくる。更に先生が声を重ねると、もっと重ねてくる。そのうち嬉しくなって、笑顔満面のハイハイで先生に近づいて来るというものでした。
このようなことから、共鳴し合うのは楽器だけではない。0歳児でもとても関わりが見られる。乳児たちはことばを獲得する前からリズムをはじめとした非言語コミュニケーションを繰り返して、多様な人々との関わり、自ら成長してゆく基盤を作っている。そのためには乳児期から多様な存在とかかわり、豊かなコミュニケーションの機会が増えることが望ましい。保育園ができるのは、子どもが多様な存在と豊かに関わる事ができる環境を用意すること。リズムをはじめとした幅の広いコミュニケーションの経験を思う存分積み重ねることができる環境を用意することだと結論づけていらっしゃいました。
この発表から、普段保育の中で何気なく見られそうな場面を、テーマ(問題意識)をもってしっかりと見つめ、丁寧に記録することで、様々なことが明らかになって来るのだと実感しました。何気ない日常を、高い意識を持って見つめ、ひとつひとつを丁寧におこない、本質に立ち返って深く考えることの重要性を改めて痛感しました。
2013/06/05
2013/06/04
日本赤ちゃん学会第13回学術集会ラウンドテーブル「保育所における乳幼児の関わり ―リズム遊びに焦点を置いて―」では、乳幼児期から関わり合う力を引き出す要因の一つに、発達の異なる子ども集団がある。保育園で過ごす時間の長さが、関わり合う力を引き出す。という昨年の研究結果を踏まえ、保育現場で起こっている子ども同士の関わりをリズム遊びを焦点をおいてエピソードをまとめ、これらをもとに、子どもたちが社会性を獲得してゆくために必要な環境について考察するという趣旨で発表が行われました。
ここにもあるように、発表内容は、子どもたちがリズム遊びを通して関わって遊ぶ様子を保育の中で撮影された動画をふんだんに用いながらの発表でした。
熊本県の城山保育園さんは、「保育園でのリズム遊びは子どもにどのような発達を促すのか」というテーマで発表してくださいました。
1人の1歳児が、両手で机をたたいてリズムを取ると、何人かが集まって来て同じように机をたたいて音を出す。そのリズムはちょっと聞くとバラバラのようですが、どこか調和したリズムで、かといってぴったり合っているわけでもない。心地よいリズムでした。
また、1人がタンバリンを鳴らすと、何人かが真似て同じように鳴らし出す様子が映し出されていました。よくありそうな子どもたちの姿ですが、発表された保育士さんは、子どもたちが共感し合ったからこそ合奏した。子どもたちが共感することこそ合奏の基本だと感じた。共感できる相手がいるからこそ合わせたいという気持ちが起こる共感できる相手がいるからこそ合わせたいという気持ちが起こる。とコメントしていらっしゃったことが印象的でした。リズム遊びを通して子どもたちが共感している。まさにコミュニケーションの一形態だと感じました。
島根県のあさり保育園さんとさくら保育園さんはの発表は地域の伝統芸能である神楽を真似て遊ぶ「神楽遊び」で遊ぶ子どもたちの様子を紹介してくださいました。その中で保育月数が長い子と短い子で関わり方に差があるのかという疑問を保育士さんご自身が持ち、その視点で動画を撮影しながら、保育月数が長い子ほどリズムが重なりやすいことなどを発表してくださいました。リズムはことばがなくても気持ちを通じ合わせる手段であり、リズムを通して複数の子どもが複雑な人間関係を築いてゆくこと、子どもたちがリズムを共有することで、共感していることにリズムに焦点を当てて動画を記録することでよくわかった。子どもがより深く他の子どもと関わろうとしたとき、リズムはとても有効だと締めくくっていらっしゃいました。
普段何気なく見ていることでも、一つの視点で見ることで気づくことが多いでしょうし、それを動画で記録し、何度も見返すことで新たに発見することもあると思います。3歳未満の子どもたちがリズムを通して深く関わっている姿を再確認するとともに、子どもの姿から学ぶ新たな方法をも教えていただきました。
2013/06/04
2013/06/03
赤ちゃん学会第13回学術集会では、まず「保育所における乳幼児の関わり ―リズム遊びに焦点を置いて―」というラウンドテーブルに参加しました。
このラウンドテーブルは、昨年の発表を更に発展させた形で行われましたので、まず昨年の発表を概観したいと思います。
2歳児には3歳児のように子ども同士で関わって遊ぶ姿は見られず、関わり合う、見合う、模倣し合う関係ではない。という調査結果(幼稚園における2歳 児受け入れに関する調査研究 全国幼稚園教育研究協議会)があります。一方、実際の保育現場では2歳児はもちろん1歳児や0歳児でも子ども同士が関わる姿は日常的に見られることを保育現場にいる保育者は経験的に知っています。企画者はこの差は、2歳になるまでの子ども同士が関わる経験の差ではないかという予測のもと、関東、九州の11都県41施設の保育所、 約1600人の在園児・一時保育利用児の子ども同士の関わりを、質問シートを用いて調査した結果をもとに「保育園で過ごす時間は、乳児においても子ども同士が関わる力を引き出している」更にそれを導く保育者の環境設定が重要だと分析されました。
このような調査を行う中で、1歳児の子どもたちが関わり合って遊ぶ姿が見られ、特にペットボトルにおはじきを入れて作ったマラカスで遊ぶ姿では、友だちが出す音に合わせてマラカスを鳴らしており、これはあきらかに相手に合わせて音を出すことを楽しんでいる姿だったそうです。これは、関わり合う、見合う、模倣し合うに止まらず、お互いのリズムを聴きながら合奏し合う姿です。こういった姿が1歳児クラスで見られることを踏まえて、今回の発表では子ども同士が関わり合って遊ぶ姿をリズム遊びに焦点をおいて発表してくださいました。
本来私たち人間は集団で生きる動物であり、赤ちゃんは集団の中で成長発達する力を持っていると考えられる。しかし、現代の超少子化社会、異年齢の子ども集団が希薄化した環境は私たちの祖先が長い間守り続けてきた子育て環境とは大きくかけ離れてしまっている。そこで、現在では貴重になってしまった異年齢の子ども集団の中で、乳児期から過ごした子どもたちがどのように関わり合っているのか、今回はリズム遊びを中心にそのエピソードを整理してゆきたい。
子ども集団で関わり遊ぶ経験は、社会生活を送る上での必要な力(社会性)を獲得してゆくことであり、今一度この子ども集団が持つ個々の子どもの発達を培う力を見直してゆきたい。(日本赤ちゃん学会第13回学術集会プログラム・抄録集P19)
と企画者は述べていらっしゃいます。