我々の祖先が約7万年前にアフリカを出て、5万年で全世界に広がったのは、その先頭集団には「落ち着きのない遺伝子」の要素を多く持った人たちがおおく集まったというより、そういう遺伝子が選択されやすかったともいえそうです。また、遺伝子と文化の相互作用についても次のように述べられています。「遺伝子と文化の相互作用は、人間の複雑な行動の随所に見ることができる。人類が石を使って固い木の実を割った瞬間、文化が芽生えた。そして手先の器用さを高め、想像力を活発にする遺伝子が優先的に選ばれた結果、人類はますます手先が器用に、想像力がたくましくなっていった。」
私たち人類は、世界中に広がっていますし、宇宙や深海などにも探求心をむけ、様々な未知の分野にも挑戦し続けています。
ここから先は全く私の思い込みなのですが、最近、「気になる子」ということばがよく使われ、集団で保育をしようとする大人にとって気になる子、発達障害という名前がつけられることも多いのですが、コミュニケーションが苦手、じっとしていないで動き回る。こだわりが強いといった特徴を持つ子が増えているといわれています。
大人が一斉に保育しようとする今までの価値観から見れば、「気になる子」なのかもしれませんが、よく動き回るという特徴は「落ち着きのない遺伝子」の性質をより多く持ち合わせた探求者のたまごなのかもしれませんし、その他の性質のなかにもこれから先、人類にとって必要になってくるものが含まれているのかもしれません。先が見えず、行き詰まってきている時代を新たな方向へ導くための探求者、冒険者、フロンティアの役割を持って生まれてきているのかもしれないとも考えられるのではないでしょうか。
今までの価値観にとらわれずに、異なった視点から見てみることも必要だと思います。
「落ち着きのない遺伝子」という記事を読んでそんなことを思ったのでした。
*次の記事を参考にさせていただきました
『ナショナルジオグラフィック』2013年1月号P60〜P73「落ち着きのない遺伝子」デビッド・ドブス