雑誌『プレジデント』で見つけた脳科学者の茂木健一郎氏とTPGキャピタル代表の津坂純氏の対談記事、私が一番興味を惹かれたのが、東京大学とハーバード大学の話です。
茂木氏は東京大学の理学部を卒業後、東京大学法学部に学士入学されました。一方、津坂氏はハーバード大学を卒業後ハーバードビジネススクールでMBAを取得されています。
津坂氏は「ハーバードの教育のすべてが良いと言うつもりはないのですが」と前置きをした上で「ハーバードではほとんどの授業が議論の中で進められます。正解は何かを求めるのではなく、より良い結論にいたるプロセスが学びの中心に据えられているからです」といっています。
それに対して茂木氏はこういいます。「日本の教育システムでは、正解を覚え込むのが勉強とされてきました。日本の文系エリートを養成してきた東大法学部では、いまだに多くの教授達が90分間しゃべり続け、学生達はそれをノートにとり続けている。情報のやりとりは一方的で、学生は、教師が言ったことを覚えることを求められるわけです」
偏差値というヒエラルキーのトップとしての東京大学、受験生の人間としての総合力で判断するハーバード。詰め込み形で正解を覚え込む東京大学、より良い結論に至るためのプロセスを大切にする対話型のハーバード大学。学び方や考え方に随分差があるものです。
津坂氏は、今、世界は転換期にあるという見方をしています。その中で日本は失われた20年を過ごしたけれど、これから新しい「100年勝負」がはじまるところともいえるととらえています。それにはインターネットの普及が大きな影響を与えるそうです。
そんな変化の時代に必要なのはどんな教育でしょうか。
私は、みんなで話し合う、意見を交換するということが、大切になってくると思います。もちろんその基礎となる基本的な能力(学力と言っても良いかもしれません)は身につけておく必要があることはいうまでもありません。その基本的な能力にしても、自ら学び取る意欲を持って学ぶのが良いと思います。
意欲を持って学ぶ姿勢も皆で話し合うことも、その基礎は乳幼児期に培われると思います。乳幼児期に旺盛な探求心を原動力として、興味、関心、意欲を持って熱中してものごと(遊び)にとりくむ経験をするからこそ、自ら学ぶ姿勢が育ちます。また、そのなかで友達と話し合って遊びを展開させたり、課題を解決してゆくことの楽しさやうれしさを幼児期にこそ体験することが必要だと思います。トラブルも、暴力や攻撃ではなく話し合って解決することが幼児期に習慣なっていれば良いのではないでしょうか。
子どもたちがそういう力をつけることができるように環境を整える事が保育なのではないでしょうか。