4歳児たちが向かいの山にさんぽに出かけました。鞍馬川のほとりでみんなでノイチゴを分けて食べたあとは、いよいよ山に入りますが、その前に一工夫。みんな石段に座り込んで、ズボンの裾を足首に巻き付けて上から靴下で覆います。山に入るときには長袖長ズボンが基本ですが、裾から虫が入ってこないようにと考えてこうすることにしています。気温が高くなると生き物の活動も活発になって、いろいろな生き物に出会う機会が増える反面、虫に刺されたりすることも増えます。完全に防御することは難しいかもしれませんが、少しでも守れればと思います。自然は人間にとって都合の良いことばかりではないことを知り、自分の身を守る術を子どもたちが経験してくれると良いと思っています。準備が整ったら、登り口にあるお宮さんとお寺に手を合わせて、出発です。
登り始めてすぐのところに廃屋があり、子どもたちはそこに魔女が住んでいると信じています。京都の保育園児たちの間で魔女の住んでいるといえば、京都市保育園連盟の運営する八瀬野外保育センターの「魔女のいえ」でしょう。とても立派な建物があって、子どもたちの心にファンタジーの世界を広げています。しかし、薬王坂の登り口にあるのはちょっと気味悪い雰囲気のある廃屋です。なぜここに魔女が住んでいることになったのか、そのいきさつはよくわかりませんが、子どもたちはそう信じています。近くを通るときは静かにしないといけないらしく、私がイノシシが地面を掘ったとを見つけたので「イノシシの掘った穴があるよ」と近くの子どもに話しかけると、子どもたちから一斉に「シーッ!」「静かにせなあかんで!」といわれました。
ちょっと不思議な雰囲気の場所を通り過ぎ、山道を登ってゆく子どもたち、おもしろい形の石を拾ったり、葉っぱを見つけたりしながらゆっくりと進みます。山歩きをしている人に出会うと、ちゃんと「こんにちは」と挨拶をしていました。
石や虫、葉っぱ、花・・・ 自然のいろいろなもので遊んでいる子どもたちをじっくりと見ていると、それぞれの心にそれぞれの世界が広がっている気がします。もちろんいつもそうなのですが、特に「山にペンギンがいる」とか「あの木はお話ししてるんで」などと聞くと自然をみていると、そんな心が広がりやすいのかもしれないと思うのです。そのそれぞれの心の世界が子どもどうしの会話を通して重なり合って、さらに広がってゆく。二人で並んで、何人かで丸くなって、一つのものを見ている姿からそんなことが想像してしまいました。